しかし反撃もここまで

スポンサーサイト

Category: スポンサー広告  
このエントリーをはてなブックマークに追加
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

このエントリーをはてなブックマークに追加

夜の街の過ごし方(脱・接待地獄編)

Category: 経営  
このエントリーをはてなブックマークに追加
※このエントリはキャバクラでモテるようになるテクニックとかでは一切ありませんのであしからず。



普段はどんぐりとかタヌキとかの話しかしてませんが、私も一応会社経営者でして、実は仕事もしているんです。
そんなわけで、先日関東の某地方都市に出張したときの話を少し。

要件は取引先の役員さん(Aさんとしましょう)との商談だったわけですが、先方の公私混同甚だしく、それなりに胃が痛い内容でした。
しかしオイラはその内容をこっそり録音していたのさ!ふふふ。
恐ろしい言葉を吐くのは結構だけど、切れ味が鋭ければ鋭いほど、こちらにとって有効な切り札になりますよっと。


まあそんなことはさておき、その夜はAさんに連れられ、夜の街を飲み歩きました。
Aさんはもう60歳近いので、派手なキャバクラなどより、浪曲のうまい女将がいる店とか、気の利いたことが言えるオーバー50の熟女さんとゆっくり飲むのがお好きで、一緒に出歩くときはそんな店が多めです。

自分は仕事でしか夜の店には行ったことがないのですが、若くて綺麗なお姉さんが揃った店から、巧みな会話術でオジ様方のハートを捉えて離さないベテラン揃いの店、「フロアレディ募集!年齢、容姿、国籍、性別問わず」という求人ポスターが貼ってあっていろいろ問い詰めたくなる田舎のスナック、底抜けの陽気さの合間にふと見せる陰が印象深いフィリピンパブなど、それなりに顔を出しています。
この界隈は詳しい人が山ほどいるので自分のような新参者がわずかな経験で偉そうに語れませんが、夜の街検定(not風俗検定)があれば、一応「初級者コース修了」くらいな感じでしょうか。

そんな自分も最初の頃は、

こんな店で醜態さらしやがって死ね!
しかもたけー!
大人マジ汚い!ゲレツ!加齢臭キモい!
もうこんな仕事辞めたい!!


と憤っていたものです。
しかし次第に「仕事の単位で考えれば微々たる金でおっさんがご機嫌になれば大変結構じゃないすか。つかジジイ楽しそうだなオイwwwwいや待てよ、もしこの女の子たちがいないと、一晩中オレがおっさんどもの相手をしなければならねーわけか!マジ勘弁!女の子チーム(or熟女or老女orその他のなにか)超ガンガレ!!!」と思うようになり、今に至っています。

ふざけて書いたけどこれは結構マジで、女の子がちょっとアホな子だったり鈍感だと、お客さんが機嫌を害してしまって、金払った上にグダグダと説教大会や愚痴タイムが始まってしまうという最悪の展開になるのであります。
逆に美醜はどうであれ、そのお客さんが気に入ってくれ、話が面白く、楽しく過ごすことが出来れば万々歳。
よく「No.1の娘は別にとりたてて美人じゃないけど抜群に気が利く」みたいな話がありますが、あれは正にその通りなんでしょうね。要するに、こういう店は若い人が想像するような、性のはけ口としての「風俗」じゃないんですよ。(※もちろん老いても露骨に性欲むき出しな人もいますが)

まあここら辺の感覚は営業をやっている方なら当たり前というか、基本の「き」、といった感じでしょう。
飲み会だろうとキャバクラだろうとゴルフだろうと、仕事で行く以上自分が楽しんじゃダメで、それよりお客さんが楽しんでいるかどうか、引いてはそれが仕事に好影響を及ぼすかが何より重要ということです。


そんなわけで自分は夜の店に行くと、基本的にお姉さんの影に隠れながらテキトーにお客さんの様子を伺っているのですが、とは言えじっと耐え忍んでいるだけではなく、自分なりに楽しみを見つけることは出来ます。

たとえば私の場合、それは「お店の女性や経営者と信頼関係を築く」ということです。

自分は最初からスケベ心は(少なくとも表面的には)スイッチOFFしてますし、何よりお姉さん方とはお互い「おっさんのご機嫌を取って金をもらう」という点で利害や意識が共通しており、いわば同胞、戦友の関係になり得るわけです。
当然、「一緒に受験がんばろうね!」的な共感も引き出せますし、「センセー騙しちゃおうよ」(口裏合わせ)とか「テストの山どこかなあ」(最近の客動向の情報交換)的ないたずらっぽい共犯関係を楽しむこともできます。
時には「ちょっと悩みがあるんだけど、相談に乗ってくれない?」(夜の仕事に関するアレコレ)みたいな裏話も聞けて、なかなか興味深いのです。例えばチャイナ系など外国人が多いお店は当然のごとく話のバラエティに飛んでいます。コミニュケーションの難しさや政治問題などから信頼を得るにはハードルが高めですが、それでも仲良くなると、日本では考えられないような話が聞けます。
親が中国の軍人で、本人は医師の免許を持っているけど今は日本の政治史を勉強しているチャイナパブのお姉さんの中国共産党に対する評価とか、母フィリピン人と父スペイン人のハーフが良い方に出まくってリア・ディゾン級だけど実は男の娘だった人の宗教観とか、一晩中聞いていても飽きないですよそりゃ。


更に言えば、自分の立場はこの段階で「お金を払ってくれるお客様」&「戦友」&「共犯者」の3翻です。
ここに「常に紳士」とか「明るくて面白い」とか「優しい」とか、誰でも出来そうな後付けの役をあと1翻加えるだけで、あらやだもうマン貫です(東スポ風)。
最初から「若くてイケメン」とか「金持ち」という役満的な配を持ってない人でも、十分勝負になることでしょう。

「ボーナス出たから絶対○○ちゃんを落とす!!」みたいな、真正面からぶつかるタイプの男子諸君では決して辿り着けないような関係になることも可能なわけですよきっと。
もちろんそれは普通、性的なものではなく(マン貫はノリで書いてしまいましたすいません)、個人的な信頼関係や貴重な情報等なので、そんなもんに興味はねえ!ヤるかヤらねえかだ!という血気盛んな方にとってはそれこそバカげた楽しみなのでしょうが。


ま、でもね。
プライベートでもキャバクラに行くような人はともかく、仕事で行く場合、最初からこういう店で何の疑問も持たずにヒャッハー出来るような人は案外少なくて、たいていの人は何らかの違和感を感じるものじゃないでしょうか。特に接待する側なんかで行ったりしたら、それこそ「働くこと」そのものが嫌になりかねない。
そこでダークサイドに一緒に堕ちていくか(接待する/される世界に疑問を持たなくなっていくか)、あるいはそれをきっぱりと拒否するか(潔癖すぎる対応をするとか会社を辞めるか)という極端な二択以外にも、こういった逃げ道というか、遊び心というか、違う考え方もあるんだよ。
というささやかなアドバイスを、社会人として日々悩んでいる人や、これから営業として働く人に捧げたいと思い、このエントリを書きました。

要点は以下の通りです。

・納得いかない仕事でも、無理に自分を納得させたり魂を売る必要はない
・だからと言って安易に拒否したり自分探しの旅に出てはいけない
・対処策として、違う視点や立場で考えて楽しんでみる
・それでも無理なら辞めちゃえば?


今回は夜の街の話として書きましたが、ゴルフだったら「”ファー”の絶対音階がリアルに”ファ”なキャディーさんはいるのか」とか一日チェックしてたら、イヤなゴルフも楽しく一日過ごせるんじゃないですかね。
なんか鬱病予防みたいですが、きっと同じ事なのでしょう。
じゃ皆さんしっかりと仕事をこなしつつ、しかし心ここにあらずな感じでボチボチやって下さいな。


そんな彼なら捨てちゃえば? [DVD]そんな彼なら捨てちゃえば? [DVD]
(2010/07/14)
ベン・アフレック、ジェニファー・アニストン 他

商品詳細を見る



MBA流キャバクラ経営術MBA流キャバクラ経営術
(2005/08/31)
中原 樹

商品詳細を見る


関連エントリ
「なにが本当にブラックなのか」
http://shikahan.blog78.fc2.com/blog-entry-41.html
「想田和弘監督『選挙』はつまり『営業』だ」
http://shikahan.blog78.fc2.com/blog-entry-16.html
このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーサイト

連帯保証人制度と自殺について

Category: 経営  
このエントリーをはてなブックマークに追加
2011.2.24(木)のTBSラジオ「Dig」は
「自殺の現状と対策はどうなっているのか?」(荻上チキ・外山惠理他)
http://www.tbsradio.jp/dig/2011/02/post-750.html
という特集でした。洗濯物をたたみながらぼんやり聞いていたのだけれど、中小企業経営者の自殺の話になり、ついこんな愚痴めいたtweetをしてしまいました。

shikahan しかはん
知らないうちに親の会社の連帯保証人になっていて日々銀行にいじめられてる中小企業経営者の俺はマジで胃が痛い。 #dig954
shikahan しかはん
とは言え、自殺を考えてもいいような状況ですら鼻ほじってる自分の愚鈍さをむしろ呪いたい #dig954



自分は今のところあまり自殺をするようなタイプではないし、原因や予防対策など自殺全般について何か語るほどの知識もないのですが、経営者の自殺とその環境ということについてちょっと考えてみました。


先のtweetにある通り、自分の場合はいろいろありまして気付いたら1億近い借金の連帯保証人になっていました。知らないうちになっていたことには当然多少の憤りを感じましたが、とは言え従業員やその家族、取引先のこともあるので、やむを得えず内定をもらっていた会社をすべて辞退し、実家に戻って親の会社で働くことにしました。
よくも悪くも同族企業の家族間のことだし、それまで親に金を出してもらって大学まで出してもらった恩もあったので、別に親を恨んだり、別の道を夢想して後悔したり、といったこともさほどありませんでした。まあ、しょうがないかと。
無能ながらも泥船のような会社をなんとか継続し続け、借入も数千万は返済でき、社員も雇い続けています。まあいつも綱渡りで、最悪のシナリオを夢に見てうなされたりしていますが。

ただ客観的に見て、連帯保証人という制度は、やはり問題があるのではないか、と思います。

よく言われることですが、銀行は基本的にリスクは極力負いません。
だからベンチャー企業に融資する際には、経営者やその親族知人など、個人を連帯保証人にします。
要するに「金は貸すけど、失敗したら家も財産ももらっちゃうよ」という態度です。

もちろん悪質な借り手をシャットアウトしたり、借金を踏み倒しておいて個人資産たっぷり、なんてケースを避ける意味があるのでしょうが、それにしても楽しすぎなんじゃないか、と思うこともあります。
本来であれば個別の企業の技術や製品、ビジネスプランなどを評価して貸付をすべきでしょうが、銀行側はそんなことする気がない、というか、普通の金融屋さんがそんなこと出来るわけがない。彼らはあくまで金融の専門家であって他分野は当然素人なんだから。
たまに呼び出されて業界や具体的な業務の説明をさせられますが、相手は日経新聞を流し読みした程度の業界知識しかないわけですから、詳細を説明したところで「はあそうですか」ぐらいしか答えがない。
一度かなり詳細なプランを持って行って借入の交渉をした時は、技術的な要素についてはほぼスルーされ、非常にシンプルに利益と担保の話しかしてくれなかった。もちろん下手に介入されるよりは彼らは彼らの仕事として財布をきっちりと管理すれば良い、という側面もあるでしょうが、あまりに杓子定規で辟易したことがあります。

もちろんこちらも金融業界や建築業界や芸能界を知らないし、ひとりの担当者が幅広く深い知識を網羅するなんてことはムリなんですが、銀行が中途で技術屋や法律家などの専門家を雇う体制が十分かと言うとそうではないだろうし(これは金融業だけでなく日本全体の雇用流動性やキャリア形成の問題なのかも知れませんが)、そういう専門家を活用して融資の判断材料を検討する、ということも大規模なM&Aや特許関連以外ではあまりしていないでしょう。
で結局、技術やプランウンヌンではなく「回収できそうな担保や保証人がいるところにしか貸さない」ということになると。

諸外国との比較でよく言われることですが、銀行がリスクを取って貸付の判断しない/出来ないから、金が有望な分野に流れない。となると、よっぽど顔が利く人か、既に財を成している人以外は、一か八かのような危険な賭けをしないとベンチャーを興せない。日本の新規創業数が少ない原因はこれだ、という指摘がここ十数年、かなりされてきました。

その真偽には諸説あるようですが、現状日本では、それこそ「死ぬ覚悟」じゃないと起業できない、ということは間違いない。
それをある程度補完するためにベンチャーキャピタルや緩めの貸付枠、各種助成金などが出てきたんでしょうが、その投資額や国内の創業数/廃業数比からまだまだ不十分なのかも知れません。
ホリエモンらが起業家志望の若い人に「最初から金を掛けるな」と強く言うのは、ここで無駄なリスクを取ってもし失敗したら再起は非常に難しい、という日本の社会制度を意味しているのだと思います。


さて、自殺に絡めて言えば、経営者の自殺にも様々な理由があるでしょう。
責任感、メンツ、ストレス他、いろいろ考えられますが、例えば経営不振の場合、選択肢として

1.ひたすら経営努力をし続ける 倒産しても努力して生きる
2.諦めて呆ける 知らん顔して生きる
3.お詫びする/精算するために死ぬ
4.楽になる/逃避のために死ぬ
5.経営上の違法行為に走る(脱税、踏み倒しなど)
6.犯罪行為を犯す(銀行強盗など)

などが考えられます。
極論ですが、日本の自殺数、自殺率が世界的に高いならば、もしかしたら5,6を選ばない人が多い、と前向き?に捉えることが出来るのかも知れません。

でも、本当はここに
7.清算して再チャレンジする
という選択肢があって欲しい。
そういう社会制度、法制度であれば、少なくとも経営者や自営業者に関しては、自殺数は減るのではないでしょうか。

いや、これは経営者だけの問題じゃない。
学校でのいじめの問題も、職場の人間関係も、解雇やローン苦なども、すべてこの選択肢があれば、もっと自殺を減らせるはず。

経営に失敗したら死んで責任取るのが当然!
友だちにウザがられるような奴は淘汰された方が自然!
仕事が出来なくて解雇されるような使えない奴はこの世にいなくて結構!

酷い言い方だけど、それも一理あるかも知れない。
でもほとんどの場合、それは「生まれて初めて握ったダーツの矢」だ。
その結果だけですべてが決まってしまうというのは、あまりに苦しすぎる。
何度もダーツを投げて練習できること、失敗を糧に再起業できること、学校という一つの小さな集団以外の場を経験出来ること、転職が容易に出来ることは、個人にとっても大切な事だし、社会にとっても、合計のダーツの得点が大きくなる(=人というリソースを有効活用し、より大きな経済的・社会的成果を出せる)はず。

日本人の美学として個人がリスクテイクしすぎ?じゃあそのリスクを肩代わりするのは何か?息苦しくて、閉塞感の中で思考停止してしまう世の中を、「文化」や「空気」じゃなくて法制度やシステムで解決出来ることがたくさんあるような気がします。
このエントリーをはてなブックマークに追加
テーマ : 社会    ジャンル : 政治・経済

なにが本当にブラックなのか?

Category: 経営  
このエントリーをはてなブックマークに追加
社員の青木くん(仮名)はなかなか優秀なエンジニアだ。
真面目で努力家、少なくとも指示されたことについてはしっかりとやってくれる安心感があるし、お客さん先にひとりで行ってもらっても技術面、人間性ともにまあ心配ない。

年齢も自分より2つ年下のほぼ同世代と言うこともあり、仕事の話はもちろん、休憩時間や飲みの席などでもよく話をする。
政治経済時事などの一般ニュースからアニメやゲーム、漫画、映画、一般書などの文化系ネタ、ギガジン、C-NET、スラドに載っているような技術系の話題、野球、ゴルフ、テニス、競馬、サッカーなどのスポーツ、2chやニコ動のネタ、そして地元や食べ物についてなど、話の内容は幅広い。
やや知識への過信があるものの、よく勉強をしているし、こちらが教えてもらうことも多い。

自分は立場上同僚というものがなく、またしばらく会社に同世代もいなかったため、会社で仕事の合間にこういった話ができることが嬉しくてたまらず、彼と話す機会が次第に増えていった。
単に個人的に楽しいというだけではなく、将来は会社の経営に携わる幹部としても期待していた。

しかし、彼の話に、次第に違和感を感じるようになってきた。
よくよく聞いてみると、幅広いと思われた彼の知見が、どうもほとんどコピペなのだ。
W杯の話も、選挙の話も、ipadの話も、テンガの話も、すべて2chまとめサイトあたりで仕入れてきた情報を、引用してるという断りもなく、知ったかぶって得意げにみんなに話してしまう。
そこに「自分で考えたアイデア」はないし、「自分で調べた事実」もないし、さらに困ったことに「ネタをネタだと理解していない」ことも多い。

で、新着ニュース的なものについてならそれでも別にかまわないが、コピペの盲信で育ってきてしまっているため、結果的にいわゆるネトウヨ的な思想傾向が(現時点では)かなり強い、という結構残念な現状になっている。
「ネトウヨ」なんていうレッテル貼りをするのは本意ではないけれど、本格的な保守本流とか右派というより、ネットで見ただけの知識に感化されすぎており、また思想に一貫性がない、ちゃんとした思想の勉強はしていない、論理が感情や自我の問題の影響下にある、という意味ではその言葉が適当なのだろう。

別に思想も宗教も政治団体も勝手にしてもらって結構だし個人の自由だ。付け焼刃の知識で語りたがる、という意味では自分も大差ない。
しかし、キム・ヨナがいかに汚い手段で金メダルと取ったかとか、庶民がマスゴミやミンスにいかに洗脳されているかを年中聞かされるのはさすがにしんどいし、職場の雰囲気も悪くなる。
堪りかねて時々論拠やソースを突っ込んだり、結論ではなく思考過程の問題を指摘したりしてみると、当然すぐに破綻してしまう。
残念なのは、普段はとても冷静で客観性のある彼も自分のことは客観的に見れず、その場を必死で取り繕い、他人の考えを受け入れる努力ができないことだ。

彼にとって、恐らくネットは偉大な存在だ。
東北の田舎町で育ち、ある時ネットで
「マスゴミのせいで隠されてきた事実を俺は知った!」「戦後民主主義教育に騙されてた!」
と思うような出来事があったのかも知れない。
それはある意味では非常に正しい。
しかし、もしこの世の中に事実が1000あるとしたら、きみは1を学校や新聞で習い、その後2と3をネットで知って得意になっているところだ。
確かに2,3は1に対して重要な反論だ。しかしより重要なのは、きみは1の他に2や3があることを知ったことだ。それは即ち、4や5や6や、その先の未知の事実があることを知ったこと、有り体に言えば「無知の知」を知ったことが何より重要なのだ。

直接でないにしろ、そう彼が気付くように言い続けているつもりだが、反論や批判を受け付けない強力なガード(それは幼いプライドで形作られている気がする)に守られ、少しも伝わっていないように見える。

学歴で言えば最底辺の普通高を卒業した彼が立派な技術者になるまでの道のりは、恐らく強烈な劣等感に支えられていたのだろう。
他人に馬鹿にされたくない、「知らない」「間違ってました」と言ったら負けだ、という気持ちがいつもヒシヒシと伝わってくる。だから知識を得る努力は惜しまない。
それは個人の成長の動機付けという意味では、必ずしも悪いものではないし、責められるものでもない。
でも、本当は知識なんていらないんだよ。自分が無知だ、ということだけ知ってれば。

教養がある、というのは自慢する雑学が山ほどある、ということではなく、自分とは違う他者の意見を理解する、想像する、ということだ。
それに過去はどうであれ、うちの会社では、きみは物知りな技術者としてみんなに敬意を払われているじゃないか。
だからもうそのガードを下ろしてくれてもいいんじゃないか…。


ただの知り合いならば、まあ放っておけって話だろう。
大切な友人なら、お互い徹底的に言いたいことを言い合えばいいし、結果絶交してもしょうがないかもしれない。
しかし、部下と上司として接する場合、特にうちのような小さい会社においてはなかなか難しい。
今彼に去られてしまっては業務上非常に困る。しかし人間的な成長を期待している大切な社員に、一体どう接すべきか、正直わからない。
もちろん「いかに奴の偏向思想を矯正すべきか」と、偏向したことを上から目線で思っているわけではない。
だが、議論の作法とか合理的思考のプロセスとか客観性とか自己批判精神とかはある程度普遍的なものだから、個人的な思想傾向はともかく、少なくともそういった前提を共有することは問題ないはずだ。(→「ゲンダイモンダイが面白い」というエントリでもちょっと触れた)
人間性とは別に、そういう態度は仕事をする上でも必須のものと言って良い、という言い訳もある(彼は仕事上でも間違いを認めない、失敗をごまかす、という傾向がある)。
ついでに言えば、例えばすでに同世代でこんな本を書いてる人もいるのに、今時サヨクの陰謀が云々、みたいな陳腐な議論を自慢気に開陳してる場合じゃないだろうに…という残念感も、まあ、ある。

不安型ナショナリズムの時代―日韓中のネット世代が憎みあう本当の理由 (新書y)不安型ナショナリズムの時代―日韓中のネット世代が憎みあう本当の理由 (新書y)
(2006/04)
高原 基彰

商品詳細を見る

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)
(2007/10)
荻上 チキ

商品詳細を見る


「そもそもそんな奴が幹部候補なのかよwどんだけ弱小企業www」と笑われればその通りだが、俺は彼の仕事ぶりは評価してるし、それに何より俺は彼が結構好きだ。たまに自分の頭、自分の言葉で語ったときは、口舌滑らかでなくとも、とても面白いし良いアイデアを出してくれる。もしその能力を、古びた鎖から解き放ってフルに活かせたら、どんなに楽しい議論が出来るだろう…。
だから出来るならば何とかしたい、と、傲慢かも知れないが思う。

*******************************

さて、ここで話が変わる。

餃子の王将のブラック研修、というのが一時話題になった。
テレビで放映された新人研修の様子がカルト宗教じみていてキモい!ブラック確定!という類の話で、その映像や反応を見たことのない人でも、大体どんな話か想像がつくだろうし各々意見もあるだろう。



その是非を言う前に、じゃあブラックじゃない、ホワイトな企業って一体なんだろう?
とりあえず違法行為の有無や待遇の良し悪しじゃなく、ここでは社員のモチベーション向上のために会社がとる態度、という話に絞って考えてみたい。

例えば「アットホームな職場です!」と銘打って、誕生日会をしたりお互いを褒め合う変な会を開いたり、どうでもいいことですぐに表彰したりするような会社はどうだろう。
残念ながらそれは、待遇が悪く定着率が低い企業が使う常套手段として昔から有名だ。
金銭やスキル、人間的な成長を会社が準備できなければ情で縛るしかないからだ。

また、人材輩出企業として名が知られ、学生の人気も高い某大企業では、社員が
「35才過ぎで会社にいると、なんで独立しないの?って言われちゃうんだよね」
と得意げにうそぶくそうな。独立心がありチャレンジ精神旺盛なデキるエリートサラリーマンってステキ!
実際社員の何%が独立し、そのうち何%が成功(定義は難しいが)するのかは知らないが、とりあえずこの企業は、そう社内外の人から思われることによって優秀な人材の確保が出来ると同時に、賃金が高くなる年齢になると勝手に一定数が辞めてくれる、つまり総人件費の抑制が出来るというメリットも得ている。
そしてそれは、恐らくは&驚くべきことに、ある程度会社側が意図しているものなのだ。


社員のモチベーション向上を指南したビジネス本は山のようにあり、人間関係もアメもムチもすべてマネージメント論で語られる範疇の領域だ。
あなたが尊敬するあの先輩の態度も、部長から言われたグッと来る言葉も、単に売れ筋の本から借用してあなたに始めて使ってみただけかも知れないのだ。

一方、王将のように体育会系・軍隊方式・宗教じみたやり方、というのは現代では非常に毛嫌いされる。
自分も学生の時は嫌悪していたし、経営者となった今もこういうやり方はまずやらない。
とは言え、社員を管理する立場になると、自社で取り入れないにせよこういった行為にある程度の合理性があることはわかるようになった。
職場や余興などで恥をかくのも、大人になるためのある種のイニシエーション(通過儀礼)であり、適度であれば本人の成長にとっても必要なものだと理解した。
牛角で「はい喜んで~!」とアルバイトが必ず掛け声を掛けるのも最初はギョッとしたが、チェーン店の末端社員に至るまでマニュアル化することで接客レベルや品質の底上げになるだろうことは想像が付くようになった。
創造的で自主性があるご立派な方々は「信じられない、耐え難い」と叫ぶだろうが、現実的にはこういうやり方の方が性にあっている、という人も、世の中にはたくさんいるだろう。それが過剰でないならば、管理され、レールを敷かれ、指示されるのは効率が良いし、とても楽なことだからだ。


つまりアットホームな職場も独立心旺盛な社員育成も体育会系企業も、どれが良いか悪いかとかいう単純な話ではなくて、当然それぞれ良い点と悪い点があり、簡単にはブラックとかホワイトなんてことは言えないのだ。
少なくとも王将の研修を見て「自分はその方法は取らずこうやって後輩に指導する」「会社として新人育成はこうすべき」という具体策も代案もなく、安易にブラックだと大騒ぎするような人は社会人としては些か幼稚だし(というか恐らく大半は学生だろうから、非難するのではなくて同情するが)、逆に「部下のやる気を引き出す魔法のことば!(vs自称クリエイティブ男子編)」みたいな安い本を読んだ薄っぺらいオヤジにガンガン釣られてしまう可能性がある、という自覚は持ったほうが良いだろう。
実際、企業案内なんてのはそんなテクニックの見本市みたいなもんだ。
ついでに言えば本田由紀氏が指摘した「やりがいの搾取」も、構造的には同じようなもんだろう。
世の中そんなに甘くはないんだよな。

ただし、じゃあ逃げ場がどこにもないじゃん→自宅警備員、とは考えず、ある程度自覚的、主体的に、場合によっては楽しんで前向きにロールプレイすることも出来る。
カルト教団に騙されたんじゃ身包みかっぱがれてケツ毛も残らないが、企業で鍛えられてスキルアップしたり金を稼ぐことの厳しさを身をもって知るのは(程度の問題はあるが)現金も含めて得るもの、残るものも大きいだろうし必ずしも悪いことじゃない。
また例えば城繁幸氏の言うように、現実の構造を理解した上でプラグマティックに雇用契約を履行しよう、というのもひとつの前向きな立場だろう。
「無駄な「ブラック会社」探しはもうやめよう」(J-CAST)

鈴木謙介氏が「思想地図〈vol.3〉」に寄稿している「設計される意欲」という文章も、安易な悪者探しをしないよう丁寧に気を遣いながら経営における意欲の設計の可能性について論じていて面白かった。

思想地図〈vol.3〉特集・アーキテクチャ (NHKブックス別巻)思想地図〈vol.3〉特集・アーキテクチャ (NHKブックス別巻)
(2009/05)
不明

商品詳細を見る


ホックシールド「管理される心」。感情労働とか表層演技とか深層演技とか。

管理される心―感情が商品になるとき管理される心―感情が商品になるとき
(2000/04)
A.R. ホックシールド

商品詳細を見る


ダニエル・ピンク「モチベーション3.0」 優秀な方々はこういう本を読めば良いんじゃないでしょうか。

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すかモチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
(2010/07/07)
ダニエル・ピンク

商品詳細を見る


*******************************

という訳で、話はうちの青木くんに戻る。

労働基準法上の思想信条の自由を持ち出すまでもなく、こういう話はあまり関わらずにスルーしておくのが正解だろう。
自分もここでいろいろと誠実に悩んでみせたが、実際はそこまで突っ込む気合も度胸も信念もない。
きっとそこそこテキトウにやるだろう。

いや、でも待てよ、会社の利益を考えたら、
「なるほど青木くん!知らなかったよ。さすがだねえ!オレも○○党に一票入れるよ!
 三国人こえーよ!ついでに美しい国日本の将来のために、仕事もバリバリ頑張ろう!」
ぐらい言った方が、少なくとも短期的には良いんじゃないか?
その上、青木くん自身は、理解があって価値観を共有できる社長のもと、やりがいのある仕事を任されている、という充実感を得られるに違いない。
彼は自己批判や客観視をしないのが問題?いやいや、自分の状況を認識し始めたら、こんな小さな会社に薄給でいる意味を考えて、とっとと出てっちゃうかも知れないから黙っとけ!

逆に自説(ただしコピペ)を気持ちよく語る彼に因果と相関の違いを説明したり、ネタをガチで受け止めていることの危険性を指摘したり、報道や統計についてのリテラシーを理解させたり、自分が他人からどう思われているか、自分の思考法が如何に幼稚か、世の中には自分より頭のいい奴がいくらでもいて、知らないことが無限にあるのだという当たり前のことを教える、言いかえれば自分と向き合う辛い作業をさせることは、相当困難でリスキーな作業だ。
リターンも短期的にはないかも知れないし、それどころか彼は、理解がない上にマスゴミに洗脳されてる愚鈍な社長のもとで、こんなきつい仕事やってられっかクソ野郎!と辞表を出すことになるに違いない。


社長として、会社としては、どちらを選べばブラックだろう。
青木くんにとっても、本当にブラックなのはどっちだろう。


POSSE vol.9 もう、逃げだせない。ブラック企業POSSE vol.9 もう、逃げだせない。ブラック企業
(2010/12/10)
POSSE

商品詳細を見る


これからの「労働」の話をしよう 濱口桂一郎(シノドスジャーナル)
http://synodos.livedoor.biz/archives/1622283.html
このエントリーをはてなブックマークに追加

想田和弘監督「選挙」はつまり「営業」だ

Category: 経営  
このエントリーをはてなブックマークに追加
衆院選を控え、想田和弘監督の「選挙」を見返した。

選挙 [DVD]選挙 [DVD]
(2007/12/22)
山内和彦

商品詳細を見る


山ちゃんは正義感も使命感もなく、区議くらいになってテキトウに有名になればいいやと思っているしょうもない感じな上、文化系の分析力も体育会系の使い勝手もないダメ人間に見えてしまうので、とりあえず候補者として支持は出来ないが、笑えることは間違いない。

もちろん自民党の古い選挙体質にはヘドが出るが、とは言え、「既得権益者」や「抵抗勢力」というのは、そういう名の怪物が永田町にいるわけではなく、そこらの一人一人の選挙民がその構成要素なのだと改めて認識させられる。

さて、この映画を観た人誰もが強烈な印象を受ける山際大志郎代議士。
彼が象徴するものにどうしても強い嫌悪感や違和感を感じてしまう。
こんな上司が会社に居たら貴重な戦力になるでしょう。うちの会社でも即採用だよ。
でもどうしても耐え難い。まあ俺が幼稚だからに決まっているんだが。

そう、この映画は普通の人には関係のないと思われる選挙活動のドキュメントだが、
会社に置き換えてみたらどうだろう。

社会人に成り立てで、まだ学生気分の抜けきらない山ちゃん。神奈川支店に配属だ。
シェアトップのメーカーでありながら担当地区での営業成績が悪く、山際先輩や役員の面々にどつかれる毎日。
「いつか都内の副支店長になりたい」と、志が高いのか低いのか分からない夢をほざく山ちゃんに、挨拶もロクに出来ないと怒る上司。常連のお客さんも接客の悪さに思わず説教だ。
嫁さんは旦那に散々振り回された挙げ句、上司にセクハラまでされてカンカン。
唯一の自慢は忘年会で披露する小泉社長の物真似。でもせっかく余興大会で優勝したのにうっかり部屋に戻って寝ていたため、先輩の幹事に「この糞KY野郎が!」と説教されちゃったよ。
俺、出世出来ないだろうなあ…。そんな映画です。

海外でこの映画を上映したらあまりにひどい選挙活動の現状に驚嘆と爆笑の嵐だったらしいが、日本の大多数の企業では日々当然の如く行われていることでもあるわけです。
そう考えると、単に民主主義うんぬんという議論以外の見方もする必要があるかも知れませんな。

このエントリーをはてなブックマークに追加

上司や先輩がいるということ

Category: 経営   Tagged: 経営  
このエントリーをはてなブックマークに追加
今回は仕事の内容について。

社長と言っても世の大半の小規模企業の社長さんは他人が思うほどその言葉に特別な意識を持っていないでしょう。
もちろん対外的には無責任無自覚ではいられませんが。

自分の場合は小さな企業であると言うこと、就任時は自分が一番年下であったこと、最高意志決定はもちろんだが雑務も多いことなどから、あまり「かいしゃでいちばんえらいひと」感は正直少ない。

さて、うちは技術系の会社(曖昧表現)ですが、自分は現在、設計やプログラミングなど現場の仕事はほぼやっていない。
当然ある程度は理解しているけれど、付け焼き刃の知識で下手に現場にしゃしゃり出てはトラブルの元と割り切ってる(まあ良し悪しありますが)。
というわけで、担当業務は直接業務意外のすべてで、具体的には経営、営業、総務、人事、経理、その他諸々をやってます。

もちろん上に挙げた各業務はそれぞれ下層に枝分かれしていくわけですが、しかし一般企業に正社員としてお勤めの皆さんとは違い、正直専門性は低い。
経理なら経理で簿記や会計士の資格を取ったりするように、それぞれの専門分野を深めてスペシャリストとなっていくのが通常の配属、キャリア形成なのかも知れませんが、自分の場合はとにかく会計処理から外壁の修理、得意先の接待までなんでもやらなければなりません(間接人員を雇う余裕がないのです。)

そのためどうしても「広く浅く」傾向となり、専門分野を網羅して極めるのではなく、自分が今必要な知識を切って貼ってして凌ぐ、ということの連続になります。
こりゃ我ながらまずい。履歴書に書くことが大変薄っぺらい。

またもうひとつ問題なのが、先輩や上司がいないこと
これは非常に大きくて、例えばちょっとわからないことがあった場合に、本を繰ったりネット検索したり専門家に聞いてみたりと時間と手間をかけてやっと分かったことが実にくだらないこと、ということはよくあります。
組織上「先輩がいる」ということは、会社として知識やノウハウの蓄積があるということですが、これがまるでないから、非常に非効率で徒労が多い。
会社としてのノウハウ、経験、知の蓄積が断絶しているんです。
まさに、毎日が「何事にも先達はあらまほしきであほらし」状態です。

これは「俺は何でも独学で勉強して努力してきた」という自慢では決してありません。
それは結果的にすごい業績に繋がったりした場合にだけ許される後付けで、
実際は「どうでもいいことに膨大な時間を無駄に使っている非効率な人間
であるという反省です。
ずっとフリーセルやマインスイーパをしてるのと一緒。

だから皆さんはイヤな上司や先輩がいたとしても、誰もいないよりはマシだと思ってみて下さいな。
このエントリーをはてなブックマークに追加

« »

10 2017
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
カテゴリ展開メニュー
  • 自己紹介(2)
  • 経営(5)
  • テレビ・ラジオ(12)
  • 映画(9)
  • 漫画・アニメ(5)
  • 書評(5)
  • その他レビュー(3)
  • ブログについて(1)
  • 子育て(8)
  • ネタ(8)
  • ネタじゃなく(3)
  • 社会(12)
  • 未分類(1)
  • 大震災(2)
  • twitterまとめ(0)
  • 雑考(2)
プロフィール

shikahan(しかはん)

Author:shikahan(しかはん)
経営、映画、子育てなど。

【Twitter】
http://twitter.com/shikahan

Twitter

しかはん < > Reload

FC2カウンター
検索フォーム
QRコード
QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。