いつまでたっても大人になった気がしない人へ

  • 2011/09/17 02:02
  • Category: 社会
小学生の頃通っていた塾の先生が、ずいぶんと大人に見えた。
後に知ったのだけど、その先生は当時25、6歳だったそうだ。

高校に行ったら、童貞卒業したら、ハタチになったら、社会人になったら、三十路になったら、結婚して子どもが出来たら、親が死んだら、etc…きっと大人になるんだろうな、と思って生きてきた。
しかし、三十も半ばになり、妻と子どもがいて、弱小中小と言えども社長という立場で仕事をするようになった現在も、一向に「大人になった感」がない。

自分がいくぶん幼稚なのかもな、と思っていて、実際そういう面は否定できないけれど、たぶん現代の四十以下の誰に聞いても「大人になった感」なんて希薄だろうという気がする。

上の世代からため息混じりに、

「最近の若者は社会人としての自覚がない」
「子を持つものとしての覚悟がないまま親になっている」
「自分が生きている社会の規範となるような責任感を持って欲しい」

等々といった批判が聞こえてきそうだし、実際よく耳にする。
こう言った批判はそれなりにもっともだし、恐らくは有史以来繰り返されてきた、普遍的な説教なんだろう。
「子ども」は「大人」に成長し、立派な社会の一員であることを求められるし、そうやって人間社会を維持してきたはずだ。みんなが子どもだと社会が成り立たないし、特に上の世代が困っちゃうからね。


じゃあここに現代に特有の問題はないんだろうか。
いや、それなりにあるんじゃないだろうか、と思う。

大人になる、ということが、その社会を維持する価値観や規則や常識を守る、ということならば、現代は2つの点でそれが難しくなっている。

ひとつは、現在説教する側の人間が生きてきた環境での価値観や常識を望んでも、もはや通用しないという点。
これは最近よく目にする、いわば「失われた理想像を求めて」とでも言うべき状態だ。
終身雇用どころか、正社員の崩壊と、それに伴う正社員前提での社会システム(住宅ローンや大量消費など)の崩壊。
核家族化、都市化/過疎化、地域コミュニティの破壊など、家族や子育てに関わる様々な仕組みの変容。
そういった変化の中で育った若い世代は、古い世代にとっての「理想の大人」などには、望んだってなりようがない。
だって、それはもう、大半が失われてしまった幻なんだから。


もうひとつは、少し前向きな理由を。
正社員制度をはじめとした古い制度の崩壊は、確かにある意味ではとても残念なことだけれど、とは言えなんとかそのおこぼれをもらおうと、我先に蜘蛛の糸を登って大人ぶろうとするのは、あまり選びたくない選択肢だ。だって格好悪いし、それにその糸、きっと切れるよ。
だったら、別に無理して「大人」になる必要はないんじゃないの?
いいじゃんずっと子どもで!

現代は時代の変化スピードが速い。そりゃそうだ。基本的に人類は有史以来「今」が一番スピーディなんだから。
その上、現在進行中のIT革命は(という言葉ももう遥か彼方に流されてしまったが)社会の価値観や常識の変化という意味ではこれまでの尺からするとあまりに高速すぎる。
昨日の価値観が、今日通用するとは限らない世界に、我々は生きている。

にもかかわらず平均寿命はぐんぐん伸びて、この国は80歳とか信じられない数字になっている。
80年も生きるのに、20歳で成人?それ生殖機能とかの話じゃなくて?
30歳にもなったら、我々が生きる素晴らしき社会を守るため、立派な社会人にならなきゃダメなの?
そんで残った50年間は、それまでに培った価値観に支配され、変化を拒み、あとは必死で働けばいいの?
それ、すっげームリがあるんじゃないの?

だって、社会はどんどん変化しているんだよ。
平均寿命が40歳だった時代や、手紙が届くのに1ヶ月もかかっていた変化に乏しい牧歌的な時代だったら、グダグダ言ってないでとっとと大人になることが、人間の種としての最適解だったかも知れない。
責任を負うことも、独り立ちすることも、不平を漏らさずひたむきに取り組むことも、もちろんとても大切なことだろう。
でも、今は30や40歳程度で変に達観したり、無茶な責任を負ったり、上から目線になったり、古い価値観をカサにきて威張ったり、諦めたり、要するに大人になっちゃ駄目なんじゃないの。

進化でも退化でもなくて、変化できるかどうか。
下手に旧来の価値観に縛られず、いつまでも「大人になった感」が希薄なままで、変化に柔軟に対応する。
モラトリアム?軸がない?
いーんだよそんなもん。
しっかりと根を張る大樹も良いけど、季節の変化に敏感な渡鳥だって素晴らしい。
それどころか、しょっちゅう環境の変化にさらされて、絶滅の危機に瀕しては変異を繰り返してるウィルスだってすごいじゃない。

何者にもなれない我々だけど、せめてそんな生存戦略、しましょうか!


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【補足:2011.9.20】
ツイッター上で、Paul_Numanさんからこのエントリについての質問を受けたので、以下回答を引用します。
上の文章の補足になるかと。

@Paul_Numan なるほろ、気持ちはよくわかりました。その上でいくつかこちらの主旨の補足を。
posted at 13:19:58


@Paul_Numan まず、記事では「大人」の定義をとても狭く定義してます。つまり、「大人になる」ということを頑固になるとか権威化することだと勘違いしてる人や、無用な不安を感じて苦しんでいる人に、それどーよ、と言ってます。
posted at 13:24:50


@Paul_Numan だから言うまでもなく、「大人になる」ことすべてを否定してる訳じゃないんです。当然負うべき責任も、その美徳もある。
posted at 13:26:06


@Paul_Numan だから二分法で、大人になることが良いか悪いか、て話ではない、てことをまずご理解頂きたい。
posted at 13:27:51


@Paul_Numan またこの記事は、25~40歳位の「大人になった感」が希薄なことに違和感を感じている人を対象に書いてます。だからその他の視点からはいくらでも反論可能だけど、それは「下剤と便秘薬のどちらが上か」みたいな論争で、必要な人に役立てばいい、と考えてます。
posted at 13:31:18


@Paul_Numan あと蜘蛛の糸の奪い合いになったり、不毛な団塊叩きみたいに責任をすべて他世代になすり付ける考えもイヤだったので、「前向きな理由」という形で、今の社会制度の諸問題は変化によって解決するしかない!て意思も入れたかったので、ああいう流れになりました。
posted at 13:35:15


RT @Paul_Numan: @shikahan なんかわかってきた。今、渡り鳥のように見える生き方を、どうやって新たな時代の大樹として根付かせるべきか、という意味で「子供のままでいいじゃん!」という全肯定をされていたんですね。そういう社会を維持しようとする働きかけを子供とは思わないのでピンとこなかったです。
posted at 13:35:38


@Paul_Numan 実は「鳥は次代の大樹の種を運ぶ役目も持ってるぜ!」てまとめようと思ったんだけど、なんか格好良すぎたので、ウイルスネタで読者がなんかガッカリする感じに落としましたw それはなんというか自分の無責任さというか良心というか…。まあその辺は好みですね。
posted at 13:39:25


@Paul_Numan とりあえずそんな感じです。自分も考えを整理し直せました。
posted at 13:44:35


下剤と便秘薬の例えは割と使えそうな気がするな。すべての諺は反証可能である(だから反証することに意味はない、適材適所にツールとして使えば良いだけ)て意味で。
posted at 13:45:14



【さらに補足:2011.9.29】

「またこの記事は、25~40歳位の「大人になった感」が希薄なことに違和感を感じている人を対象に書いてます。」
というのは、要するに自分に向けて書いている、ということです。
あまり誰かに向けて偉そうなことを書くというスタンスをとらないのですが、まあこういうタイトルがキャッチーなんでしょ、と思って書いてみた面あり。
 
 また、上に書いたとおり、これはたまたま現在の日本語で「大人」という一語で表されている概念のごく一部についての話です。したがって、たとえば
「大人はいなくなり年を取った大人子供で溢れることになる」日本社会の現状。/依存と幻想からの脱却 思想地図β Vol.2 - 風観羽 http://j.mp/rdGl13
という記事とは、見出しはまったく逆だけど、言っていることは結構同じ方向なのですよ(あくまで方向の話ですが)、と付け加えておきます。

こんなドラマがあれば見る!

  • 2011/08/26 19:44
  • Category: 社会
視聴者参加型/勝ち抜き型/依頼型の番組というのは昔から山ほどあります。

『スター誕生!』や『ASAYAN』のような、明日のスターへの登竜門となるようなオーディション番組を始め、『アタック25』『クイズ100人に聞きました』『アメリカ横断ウルトラクイズ』などのクイズ番組、『パンチDEデート』『ねるとん紅鯨団』『あいのり』などの恋愛バラエティ、『なんでも鑑定団』『ビフォー・アフター』などの依頼型番組等々と、過去様々な番組が作られ、人気を博してきました。
やはり自分もそこに関わる可能性がある、というのは、フィクションとは違って現実感や緊張感があって面白いのでしょうね。

さてそういうものとは少し違いますが、アメリカなど海外のTVドラマでは、視聴者の反応や投票によってシナリオを書き換えていく作品が結構ある、という話を聞いたことがあります。
ちょっと想像すると、何シリーズも続くような人気作の場合、視聴者の声を反映させるのは当然でしょうし、かと言ってあまり短期間にそれをやってしまうと、シナリオがちぐはぐなものになってしまい、作品の統一感やテーマ性などの面では劣るものになってしまうかも知れません。

とは言え、リアルタイムに自分たちの意見に耳を傾けてくれて、しかもそれが当意即妙に作品に反映され、設定不備やシナリオの穴など不満点には次々に補足エピソードが入り、なおかつ全体の統一感も失わないような作品があったなら、やはりそれなりに楽しいのではないでしょうか。

しかし実際には結構な困難があります。

1.大勢のスタッフや出演者のスケジュールを、直前までわからないまま拘束するのは大変
2.番組の予算や技術では、視聴者から最高のアイデアが出ても再現できないかも知れない
3.視聴者からの意見を募集、検討する時間と、撮影、編集して放送するまでどの程度ラグがとれるか
  短すぎれば視聴者が考えたり盛り上がることができないし、長すぎてしまえば興味がなくなる
4.どう転ぶかわからないシナリオなので、時間的、物理的制約を受けるセットやロケの準備が難しい
5.スポンサーの制約。視聴者が好む展開と、スポンサーが好む展開が一致しない場合があり得る

と、素人の自分でも簡単に問題を挙げることが出来そうです。
こりゃ無理っぽいね。


でも待てよ。
別に番宣に莫大な費用を掛けた月9のジャニーズ主演作でなくても、ミニマムな小作品であれば、案外うまく行くかも。

1.そう、大物俳優なんていらないし、いっそ素人でいいよ。
2.予算もあまりかけないで、なるべく金が掛からない方法を取ろう。
3.タイムラグについても、規模が小さければ関わる人も少ないし、案外コントロール出来るかも。
4.時間的、物理的な制約も、いっそ実写ドラマじゃなければナシに出来るんじゃない?
5.スポンサー?そんなものいらないよ。タダでやっちゃえばいいじゃん!

 みんながワイワイ好き勝手なこと言って、自分が言ったことが反映されたり、それどころか直接説教したり、泣いたり、笑ったり、文句つけたり、誰かと共感したりして楽しめれば、ソーシャルとか繋がり体験とかネタ消費って言われる現代では、ドラマそのものを見るよりずっと面白いかもよ?

実はそう考えた末に作られたのが、こういった実録モノ系のまとめだと考えてみるのはどうでしょう。
割と自由に楽しめると思いますよ。タダだし。

発言小町:彼女との結婚に悩んでいます
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2011/0805/432158.htm?o=2

ハムスター速報:向かいのマンションの女が双眼鏡でこっち見てるっぽいんだが
http://hamusoku.com/archives/5683373.html

ハムスター速報:彼女とS○Xしようとしたらふられたwwwwwwwwww
http://hamusoku.com/archives/5605652.html







※1.言うまでもなく、上記の話が「ウソ」「釣り」「ネタ」に違いない、という話ではなりません、念のため。それはどちらでも関係ないのです。

※2.要するに「大作ゲーム→ソーシャルゲーム」という流れをドラマや映画に置き換えたらこうなるんじゃないか、って話です。ゲームと違ってドラマというジャンルから逸脱していますが、ドラマに求めていた欲求を何によって代替しているかと考えると、それなりに妥当じゃないかと。

※3.そう見立てた場合、皆さん昼ドラやラブコメに相当するものが大好きでなによりです。

手のひら

  • 2011/06/09 18:17
  • Category: 社会

  
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          ,xイ ,.x≦《tッ= 〕f‐〔テ.} 》  |  見たいって?
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    ホウホウ>   /⌒ヽ   |  批 |   l  ル  l 
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       ホレホレ>  ヽ、  便乗商法  |          /
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 i;;|   /  |    ヽ ̄~´    :::
 Ⅵ     /       ̄´   :::::       やすしさんの手…
  |   //   ヘ        ::::::::  
  |    (  ,- )\       ::       あったかいっす!
  ∧   ____二____         __ノ
  ∧  \i__i__i__i__i フ        /
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     \ u.` ⌒´      /
    ノ           \
  /´               ヽ        プギャー>






     総選挙  キャバクラ商法    会いに行けるアイドル     ガ
  クラスで10番目        黒髪制服                  チ
 AKBというゲーム  時代はSKE    グラビア占拠    整形上等 
  処女厨    あーちゃんあっちゃん  じゃんけんシステム
 CD5500枚        CGMとしてのAKB      電通()
   犯人は「チケットが欲しかったので       またあきもとか          
 ケインズ的には   お祭りなんだから踊らにゃ損!         ネ申 
  たかみなのリーダーシップ 一人称は「僕」=宗教洗脳ソング   言舌
     あえて評価           / ̄ ̄ ̄\        搾取の構図   
百合萌え  マジすか!      ./ ─    ─ \    地獄のマエダ
   奥深い詩の世界       /  <○>  <○>  \    SDNはゆるす
 仮面ライダーでいうと       |    (__人__)    |    タイキマリコサマ号  
                    \    ` ⌒´   /     児ポPV         
  現代のゲッベルス       /              \AKBというフォーマットを輸出




    関 わ っ た ら 思 う つ ぼ だ
  
       逃 げ る し か な い

 \    \
  ヽ\、  ^\
\ .\\ヽ、   ^\、
 \ .\\ヽ \    |\           
  \. \  \ \    λ\、
   \  \  \ \      \、           
    \.  \   \ \      ^ー)\
     \  \.  ´⌒ヽ,⌒ヽ,_       ^)\、
      \  \.    人  λ\  ____   ^)\λ
       \.  「\    、  ヽ./ _ノ ヽ、\     |
        \ \ \    ヽ./ ( ○)}liil{( ○)   て 
         \  \ .\ ./     (__人__) .\   (
          \  \ ^|       |!!il|!|!l|   |   r'"
            Z_ . ヽ、_\     |ェェェェ|   /   て
             Z_   .\______/    (
               Z_               r'"
                 Z、、            (
                  ⌒ゝ人/^ゝ人/^ゝ人/^
 
  


渡り廊下走り隊
『手のひら』



小さな手のひら いつかはあなたを包み込む 大きな手のひらになっていくんだ


デマには「根絶」ではなく「拡散」で対抗する

  • 2011/04/07 16:25
  • Category: 社会
東日本大震災:ツイッター 「誤りだ」もつぶやいてデマを淘汰 - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/biz/it/news/20110405mog00m040029000c.html?inb=ri

という記事について。

災害心理学が専門の広瀬弘忠・元東京女子大教授へのインタビュー記事で、要約すると以下4点。

1.ツイッターなどのSNSでは、情報の正しさを見極めるのが難しいし、デマも発生しやすい。しかしオープンに議論することで「チェック機能」や「自浄作用」が働いて「良貨(=良質な情報)が悪貨(=デマ)を駆逐」していく。小さな混乱は起きるが、SNSがない場合(関東大震災時の朝鮮人暴動デマのような)に比べて大規模なパニックにはならない。

2.デマは、不確かな状況下で作り出される物語のようなもの。日ごろ持っている欲求不満や偏見が映し出される。

3.支援の輪の拡大、安否情報や各種リスト共有、個別の細かい情報を発信することで全体がつかめる、などの利点がある。

4.ソーシャル・ネットワークを使えない人たちが、ネットワークに参加できるようなシステムをつくる必要がある。


このうち2、3、4についてはそうだろね、って話なんですが、1.についてちょっと考えてみたい。

いや、恐らくツイッターが嫌いで「あんなものデマ拡散器だ!」と叫ぶ人が否定するであろう「良貨が悪貨を駆逐する」っていう部分は、別に異論ない。というか基本同意。
前エントリでも

「デマ拡散については、「拡散しない努力」だけじゃなく、Twitterならではのデマ解決法は、場合によってはむしろ拡散することなんじゃないかと思っていたのでやってみた(もちろんいろいろ条件が付くだろうが)。
大部分の水はきれいでも、端々の小さなクラスタという淀みは真っ黒なまま放置していいんだろうか。」


と書いた。
ツイッターの本質は拡散だし、ひとつのつぶやきにさほど意味があるわけでもない。
だから仮に

「【拡散希望】東電社員です。やべーよさっき菅総理が原子炉にカイワレ投入したら爆発しちゃったよ!」

というデマが信じられ、拡散されて一気に50000RTされても、途中で誰かが気付いて
「この情報まじかよ」
「ソースは?」
「いやさすがに原子炉にカイワレはないだろ」
「誰か検証してくれ」
「このツイートが最初にされた時には菅総理は官邸にいたはず」
「つうかこのアカウント、フォロワー2人の卵じゃん」
「新聞記者の○○です。さっき枝野官房長官に確認しましたが、そういった事実は一切ないそうです」
「民主党の△△です。さっき官邸で話しましたよ。証拠画像あり。デマでしょう」
というようなステップを踏む。そんで最終的に

「【拡散希望】”菅総理が原子炉にカイワレ投入→爆発”というのはデマ!ソースは○○と△△の証言http…」

というツイートがまた60000RTされて無事消化、みたいなケースが多かったように思う。
まあこのへんは「思う」だけじゃなくてちゃんとある程度は数字で検証しなきゃかもしれないけど、しかし震災をきっかけに、こういったデマへの対応が、総体としてどんどん上手になり、鎮火までのスピードが速くなり、要するに「慣れて」いったのは確かだろう。新規登録者もガンガン入ってきたけど、初心者への「Twitterの作法」に関する説明やツッコミも同じようにこなれていったし。

デマをRTしちゃっても、そんなに気に病む必要はない。デマとわかった時点で訂正・取り消しのRTに協力すればいいだけ。
なぜなら、RTするのは本来、単に居酒屋で隣の席から聞こえてきた話を、「へえ。~らしいよ」と同席している友だちに話す程度のものだからだ。
もちろん多少の情報精査能力があるのが望ましいのは言うまでもないが、いちいち言質をとられて糾弾されるべきものでもないし、そもそもそういった「ゆるさ」こそがツイッターの最大の美点でもあるんだから、それを躍起になって批判したり、知識やリテラシーやIQ不足が原因だ!(キリッ と叫ぶのは、自身の中途半端な知識と知恵と善意からくる小賢しさの表明でしかない。
基本的には「あーデマだったわ申し訳ない」で十分なんだよ。そもそもデマとネタとメタと皮肉と感情の吐露と想像力と予言と真実の区別なんて、厳密にはつくわけないんだし。
だから、「デマを根絶する!」のではなく「デマは湧くものだから、拡散しても被害が少ないようにしておく」というのが望まれるあり方で、それは奇しくも今原発被害拡大の一因として語られる、無謬主義やゼロリスク信仰の問題と同一なのだろう。

関連エントリ:
『災害時のTwitter利用の記録・1』
『災害時のTwitter利用の記録・2』


だから広瀬教授の説には基本賛成なんだけど、ただーし、だ。(※以後は話がそれる予定)
これはあくまでツイッター上のデマという「情報」の話であって、実際の行動の話ではない。
つまり、仮にデマが完全に鎮火したとして、あるいは拡散しまくってる状態が続いたとして、それが実際の行動にどの程度影響するのかは、当然ながらまた別問題だ、ということだ。
正直「また残念なTwitter民の皆さんが大騒ぎしているようだがww」とネタにされるようなことは多数あった。でもそれは過剰に可視化された言説に過剰に反応しているだけで、一方その頃オカンはコタツでみかん食ってるのであった、みたいなのが実態だったり。
一時期、2chでネトウヨ的な言動が目立つ→若者の右傾化が進んでいる!ヤバい大変!みたいな話があったが、それが実際の行動、特に投票やら政治活動にどの程度影響するかといえば、いろんな統計があるものの、2chのログに占める割合よりは現実は「若者が右傾化」してはいない、ということは明らかなようだ。

Twitterがきっかけで、個人の具体的な日常生活、購買行動、避難行動、慈善活動、政治活動等にどのように影響をおよぼすのか、または利用者が人口のわずか数%ながら著名人など影響力の大きい人が数多く使っているTwitterでの言説やムーブメントが現実社会にどの程度影響するのかは、ちとわからん(単純な関係はいくらでも表明出来るだろうけどね)。
その上それぞれの人は知識も立場も心境も環境も違うわけだし、また情報はTwitter単一なわけではなく、それ以外のメディアや情報源とカクテル化されているわけだから、中長期の影響ともなると、本当のところはたぶん誰もわからん。解きほぐせない複雑な要因が無限にある。

という一応の指摘の後で再び、ただーし、だ。(※以後は話が斜め下に行く予定)
ツイッター上のデマをみて、「菅やべーよ!」と思わずRTしてしまい、その後デマだとわかって訂正RTをし、全員がデマだと認識したとしても、心理はまた別問題だ、ということ。
「情報」としては「デマ」だと確定してヤレヤレ一安心、一件落着したものの、一度上がって下がった心の波は、元の波にあらず。
そのデマの種類によって、ドキドキだったりワクワクだったりヒヤヒヤだったりメソメソだったりムカムカしたものが心の中に必ず残る。しかもそういった情報の津波に晒され続けるのがツイッターだ。
もしいろんなメソメソ絶望系のデマを10個ばかり連続で見聞きし、RTするかどうかはともかく、「情報」として知ってしまったら、それが後にすべてデマだとわかったとしても、すっかりメソメソな気分になってしまうだろう。
また「みんなで手をつないで祈ろう!」みたいな、まったく中身のない偽善的発言とされるものをルンルン気分でツイートしたりRTしまくっていて、多数のフォロワーにRTされまくったとしたら、仮に現実には何の効果もなくても、皆それなりにルンルン気分になって社会にとっては案外良い影響があるかも知れない。でもそれは危機の状況や種類によっては悪い影響なのかも知れない。
その気分がさらに現実の行動にどう影響を与えるかは…と、とにかく影響は単純じゃない。
要は「情報」や「知識」の短期的なプラマイだけじゃ全然ツイッターの功罪を分析したことにはならないんじゃないか、という話でした。
ま、これはいくらでも拡張可能な話だし、ツイッターに限らないし、検証しようがない、あるいは検証が無意味な話なのかな。

そんなことを考えた上でのまとめ。(※以後は話が斜め後ろに行く予定)
経済学や社会学、心理学などの叡智を借りるのは良いとしても、単純化された理論を自分のような素人が判断の材料にしようとしても、現実は要素や条件が多様すぎて、実際はみじめな精神安定剤かレッテル貼りの道具にしかならない、ということが今回の震災を機に身に染みた。
未曾有の災害と、それに伴ってリアルタイムでダイナミックに変動する社会、言説、価値観。
そういう「未知の現実」に対し、既知の理論や知識にハメ込んで理解出来た気になる。それは心の安定には繋がるだろうが、現実を直視することから逃げることでもある。

専門で勉強している「知識人」と呼ばれる方々にもそういう人が結構いるように感じられたのだがどうだろう。
あるいは、専門家としては静観しているのが賢明で誠実だが、人としてなんとか社会の役に立とうとした、ということなのかも知れない。世の評価は結果論でしかないし。

社会学や心理学、政治学やメディア論なんかも、見果てぬ夢としての「心理歴史学」みたいな話はきっとあるんだろう。
でもそれがどんなに発展したとしても、不確定要素が多すぎて、こんな混乱期ではきっと昭和の気象予報より遥かに低い精度なんだろうな。いや、混沌の予測やアドリブはハナから無理だけど、後の検証には役に立つのか。
非常に限定された条件下での「正しい数字」を真理として奉り、ちょっとでも限定条件がズレると途端に「想定外」と言って開き直る幼稚さ、もしくは誠実さ。
あるいは、ロクに数字も知識も理解しようとせず、漠然とした言葉や概念で不用意に現実を定義しようとする浅ましさ、もしくは誠実さ。
そうやって少しずつわかること、出来ることを増やしていくしか無いのか。それが学問に対して誠実だとか、冷静で理性的だ、ということなのか。

つくづく、この世は複雑だねえ。
俺が浅はかな考えで、社会のため、混乱を避けるため、人のためと思って行う行為は、長い目で見れば最悪の結果を招き寄せる行為なのかも知れないな。


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震災後話題になっている本。これを読んで「人は災害の時には案外協力してユートピアが実現するんだ!暴徒とかにはならないんだ!」と理解している人はとても危険。

阿呆陣グルグル

  • 2011/02/07 00:23
  • Category: 社会
大相撲が盛り上がってますね。
個人的にはまったくスルーしているんですが、ツイッターを流れるタイムラインを見ていると、嫌でも目に入ってきてついリツイートしてしまったり。
そんな中、切込隊長の「角界の八百長問題はスポーツ興行全体の問題として認識するべき」というエントリが簡潔にまとまっていて面白かったのですが、「相撲」という言葉は他の言葉も代入可能だな、と思い、パロってみました。

******************************************


 相撲政治は真剣勝負であると同時に興行選挙なので、どうしてもこの手の問題がつきまとうのであるが… まあ、現場でやってる力士政治家がメールでやり取りしてたら当然こうなるよね。

力士政治家の文面に「まっすぐ突っ込んで質問していくから」 「20」「30」は勝ち星の金額か法案の本数か
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110202/crm11020212510011-n1.htm

 昭和の時代は暗黙のネタで済んでいたものが、平成の世になって社会に余裕がなくなると、袖の下に何か鎧でも見えると大騒ぎする風潮というのはどうしても出てくるものなのだろうと。いや、八百長は良い、許せ、と言っているわけではないですよ。でも真剣勝負であるはずの相撲政治が、とか、裏切られた、とか言っている人たちは、大相撲政治に限らず興行社会の歴史を知らないのではないかと思うわけです。

 数理学をやっている海外のファンドが、日本の競馬の勝率が統計的に歪んでいる(=操作されている)ことを割り出し、膨大な投資回収をやっていたりとか、基本的にブックメーカーが絡むものは過去のトラックレコードから出される勝率に一定の法則があり定期的に再現される相場では異常な勝ち方をします。

 では日本の競馬界だけがおかしいのかというともちろんそうではなくて、その社会それぞれの興行があり賭け事があり、そこには風習やしきたりがあって、さまざまな暗黙の諒解がある。当然、大きな賞がかかる賭け事では不正は起きえないけど、下っ端でやっている層はどのような賭け事であれ生活がかかっていて、お互いに星を融通しながら生きているのもまた事実で。

 繰り返すけど、八百長はいいと言いたい訳ではありません。ただ、常識的に考えて選手寿命任期があり、20代にピークを迎えて30代には引退を余儀なくされるスポーツで60代にピークを迎えるまであまり出番のない政治で、全員に成功議席が保証されているわけではなく、ユニフォームを脱いだりまわしを取って髷を切ったら選挙に落ちたりバッジを外したらただの人以下になってしまう世界が、世間一般で常識とされるようなルールで回っているわけがないじゃないですか。

 だいたい、相撲政治に限っているならばデブウヨが年中デブサヨ相手に全力で戦い続けていたら、常識で考えてどんなに頑健であったとしても身体心身がボロボロになってしまいます。途中で勝ち越したら星を譲る法案が通ったら別案を飲む、というようなことが暗黙の諒解として日常的に行われていたとしても、私は「まあ、お互いに生活がかかっているんだから仕方がない部分もあるのではないか」と思ってしまいます。

 そんな角界政界で、昨今「八百長問題も出たので、公益法人として廃止に不信任案を出して解散総選挙に」というような議論があるようですが、個人的には反対です。法案の貸し借りなんて、今回のメールで出ようが出まいが、いままでずっとみんな知ってたことじゃないですか。暴力団が相撲賭博で業界団体が既得権益で稼いでいたことのほうがよほど問題であって、八百長はむしろ煙幕で使われているんじゃないかとすら思います。いまさら「相撲政治って八百だったのか! いままで信じてた!」という奴のほうがフラワーだろうと。

 むしろ、興行ポピュリズムであるという側面を重視するならば、ノア日本共産党とか、みちのくプロレス幸福実現党とかを積極的に公益法人化与党入りさせて、角界政界を交えた団体戦を国家主催国会でやればいいんじゃないかと考えます。(後略)

******************************************

先に行っておきますが、別に現政権の失態を見過ごせ、という話ではないですからね(あと、ノアは共産党じゃない、とかマジで言い出さないでください)。
要するにこういう話です。

※参考「日本を殺すスキャンダル狂い:ニューズウィーク日本版」
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2010/09/post-1585.php?utm_content=backtype-tweetcount&utm_medium=bt.io-twitter&utm_source=twitter.com

日本の「スキャンダルマニア」には、長年の蓄積がある。自民党の長期政権が続いた何十年もの間、弱い野党がスポットライトを浴びるチャンスは国会審議のテレビ中継くらいだった。野党は有権者にアピールするべく、国会にテレビ中継が入る日、もっぱら自民党のスキャンダルをセンセーショナルに取り上げて非難し続けた。

 この慣習が日本の政治論議をゆがめた。ダークスーツをまとった東京地検特捜部の検察官らが政治家の事務所に家宅捜索に入る、あのお決まりの映像がテレビに映し出されると、この国の政策論争はすべてストップする。そして国会とメディアと世論は寄ってたかって疑惑の政治家を袋だたきにする。

 メディアも、政策をめぐる議論を報じることよりも政争や政局を報じがちだ。政治家のスキャンダルを追及すれば、視聴率や売り上げ部数が稼げる。メディアは血に飢えたサメのように、新たな餌食を探し続ける。

 日本が直面している数々の難題を乗り越えるためには、時の首相と政権が腰を据えて政治に取り組むことが欠かせない。しかし日本のスキャンダルマニアは、政治に空白を作り続けている。


こっちを相撲に当てはめて書き換えてももちろんOK。

この件に限らず、亀田でも海老蔵でも普天間でもいじめ問題でもその他諸々の事件でも、マスコミや「フラワー」な人&ついでにお年を召したドライフラワーな人の振りかざす正義感や倫理観とやらにみんなウンザリしていて、でもそれに対して、下の茂木健一郎氏のような「権威叩きや異物排除して憂さ晴らししてイクナイ!!」みたいな反論も、まったく正論ながら同じように見飽きてしまってます。

kenichiromogi 茂木健一郎
メディアが、「大人しくしていなさいね、ちょっと尖ったり、間違ったりするとバッシングされますからね、いい子でいなさいね」というメッセージを発し続けている国は、どう考えても異常。これじゃあ、日が沈むはずだよ。



さらにこの切込隊長のブログのように、「まあまあお前らもちつけ」というような冷静なツッコミとか、元力士の証言とか、裏の世界の人の本音とか、別の視点の提示なんかも出てきて、さらに自分みたいな奴が興味ないと言いつつ離れたところからヘラヘラしながらネタ化したりして、そのうちウヤムヤになって終了、そしてまた次の生贄が捧げられる、というのがニュースの消費サイクルというか一連の作法となっているようです。

でも、もうこういう流れもいい加減お腹いっぱいだよな、とも思います。
みんなでよってたかって相撲を語ったって、本質的な議論はほぼないし、しかも数年したらすっかり忘れてまた同じ話。バカかと。
何で毎度同じ流れになるかと言うと、まあマスゴミが悪いとか国民の民度が低いとか情弱がナンタラとか品格がポンタラっていう、これもまたお決まりの話になっちゃうんですが、一応自分なりにその先に一歩踏み込んで考えてみます。


隊長は最後のオチを

あるいは、柔道のようにしきたりをルールにしっかり置き換えて、海外へ向けて国技を開放して国技館でワールド相撲カップをやるような、そのぐらいの規模感で八百長を排除するぐらいしか、真面目に考えれば方法はないような気がします。


というぶっ飛んだ発想の飛躍で締めているので、なかなかいい入れ替えが思いつかなかったんですが、「あるいは」以降について自分の考えを真面目に書くとすると、こんな感じでしょうか。

・相撲については、「神事」「国技」の部分と「スポーツ」「格闘技」の部分を分離する
・毎度八百長だとか神事だから空気嫁、みたいな話をしなきゃだということは、要するにその論理がもはや社会に受容されてない、もしくは必要とされてないってことだと思います。事実プロレスは廃れたわけだし。
・でも伝統のある神事というなら、流鏑馬みたいにちゃんと神事として粛々と行う。チンピラは入れない。
・興行/スポーツとして相撲をやりたい人たちは、ビジネスとしてお客のニーズがある限り八百長しないでガチでやる。総当たり戦でも異種格闘技戦でも海外進出でも好きなようにやれ。

・政治については、ニューズウィーク誌が指摘するように、マスコミや国民が減点主義や無謬主義から脱し、糞くだらない足の引っ張り合いで国会を空転させずに社会全体が現実的な大人になる。
・また、へんちくりんな法案を大衆迎合のために提出しないでプロの政策専門家や実務家としてガチで行動する、あるいはまさにそのプロである官僚や学者、在野の専門家が有効に機能するようなシステム作りをする。
・ポピュリズムの部分もドブ板からあまり進歩してないので、小泉元首相(ラブミーテンダーやXJAPANでお馴染み)程度のスピーチ力・自己演出力でも「劇場型」「煽動家」「カリスマ」と評されてしまう。もっとちゃんとしたスピーチライターを育成したり、現代的な煽りを学ぶ。

もちろん自分は相撲も政治もさして詳しくもないので「この案が正しい!これが答えだ!」って話じゃなくて(なんたって893にもタニマチにも利権団体にも触れてない)、テキトウに今考えただけだっていろいろあるんだから「本音出して、このへんから議論がスタートしてもいいんじゃないっすか」ていう話です。
そうしないと、永遠に小さな土俵の中をグルグルと回っている気がします。角界の根本的体質改革とか、検察の手続きの問題とか、土俵の外の、より重要な問題にはとてもじゃないけど眼が向かない。
まあそんな田舎のチビッコ相撲みたいな滑稽さも楽しみの一つと言えばそうなのかもしれませんが、そろそろもうひとつ大きい土俵をグルグル回ってもいいんじゃないかなあ。
ネットや雑誌を見たり、財界人や学者、マスコミ関係者などの話を直に聞いてみると、大手マスコミで見聞きするよりずっと頭のいい人たちの優れた議論が多い気がするので、なんつうか、もったいない
階段を一段上がるためには…やはり世論回転装置のマスコミからなのかな。
「情弱向けメディアに何を期待してんだよ」とか「記者クラブの問題でしょ」と言われれば…どうなんでしょう。知りません。

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【追記:2011.2.9】
つーかさ、ワイドショーとか「朝まで生テレビ」とか「TVタックル」みたいな、白熱した議論をしているようで何十年とまったく空虚な罵り合いを得意げに報じ、その上一丁前のジャーナリズム面して、そのくせ突っ込まれると「これはプロレスだから」とか嘯く奴はみんな死ねばいいんだよ!
もういい加減に冷静でマシな議論しようよ!

と俺の心の中の悪い子が申しております。


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           「世代論がどうもうまく語れない新世代という問題」

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shikahan(しかはん)

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