「ハートキャッチプリキュア!」第38話「プリキュア、スーパーシルエットに変身です!!」が良かった。
先週に引き続き、プリキュアの4人が成長する試練として、自分の内面と向き合ってそれを乗り越える過程が描かれるのだけど、ここでは「本当の自分」が「シャイな自分」「おっちょこちょいな自分」「本音を言えない自分」など、負の面として描かれている。
最近の少年向け作品の主人公は、実はスーパーなサイヤ人だったり、火影の子供で尾獣を宿していたり、海軍の英雄の孫で革命家の息子だったり、ダメメガネかと思いきや魔法の世界では選ばれし者だったりと、結局お前らサラブレットじゃん、というのが意外に多い。
「最近の少年漫画って残酷wwwwwwwww」
http://digital-thread.com/archives/2638346.html
これはエンターテイメント作品において敵のインフレに対抗するための有効な手段ではあるけど、持たざる者の成長物語としてはちょっと残念だし、それが若者を「自分探し」に向かわせる遠因になっているという指摘もある。
本当の自分はこんなんじゃないんだ、オレはこんな仕事をするべき人間じゃないんだ、オレには秘めた能力があるんだ、何もしなくてもある日覚醒とかするはず!…。
だから今回のプリキュアで、「本当の自分」という言葉を「自分の直視すべき欠点」であり、また「乗り越えるべきもの」であり、さらにはそれを「素直に認め、受け入れていいもの」としたことはとても良かった。
ちなみに各方面で絶賛されている「おまえうまそうだな」でも、自らの出自、属性、「本当の自分」が、乗り越えるべき壁であり、かつ受け入れて成長するものとして描かれていた。
…と一応言ってみたのだが、実はそれは本題じゃない。
こういった評価はまあいくらでも出来るのだが、父としては正直、若干の不安を感じる。
あっけらかんと「傑作だから見るべき!」みたいに言って良いものなんだろうか。
上に書いた「良かった」って、一体何が、誰にとって良かったのだろう。
大人目線での作品評価、大友アピールに対する賛否、子供への教育的・倫理的効果、情操効果、ポケモン現象みたいな物理的効果、それ以外の様々な正負の影響。
教育学や心理学などの蓄積には最大限の敬意を表すけれど、これらが中長期的に子供にどう影響するかなんて、実はまだまだわからない点が多い。
その影響をすべてコントロール出来るようなものが好ましく、作り手は受け手への正負の具体的な影響を意識すべきだ、とはもちろん思わない(そんなものを目指したら、実に恐ろしくつまらない世の中になるだろう)。
アニメや芸術に限らず日常のすべては何らかの影響を及ぼすのだし、その効果や因果なんて複雑すぎてわからないことが多い。
けど、わかった気になっていることは多い。それが怖い。
実際そこまで神経質になる必要はないのだろうけれど、ただ、大人目線で「いい作品」だと判断することは案外傲慢で、鈍感で、まったく見当違いだったり、逆効果だったりするってことがあるということは覚えておきたい。
そしてそれを自覚した上でなお、何かを信じたり、選択したり、決断しなくてはならないからこそ、責任が大きく、かつ面白いのだけれど。
『Panty & Stocking with Garterbelt』を鑑賞する娘の図。
参考:都小P新谷会長「子供は本当にバカで未熟。家庭だけでは教育できない」:萌えプラス
http://moeplus1.seesaa.net/article/169206644.html
関連エントリ:「理想の子育て法なんてない」
:「にほんごであそぼ」についての提案」
佐々木マキ「やっぱりおおかみ」。どういう注釈、フォロー、タイミングで読ませるかによってまったく意味が変わってしまいそうな、ある種劇薬的な絵本。
「昔は良かった」「殴れば良いんだよ」「憲法改正すれば」的な感情論や経験則などで教育を語っても百害あって一利なしなのは明白なのに、現状はそんな論争ばかりなのかもしれない。教育効果をしっかりと検証して次のステップへ進むために。(荻上チキさんの紹介を聞いて追記しました)
「図説 教育の論点」
先週に引き続き、プリキュアの4人が成長する試練として、自分の内面と向き合ってそれを乗り越える過程が描かれるのだけど、ここでは「本当の自分」が「シャイな自分」「おっちょこちょいな自分」「本音を言えない自分」など、負の面として描かれている。
最近の少年向け作品の主人公は、実はスーパーなサイヤ人だったり、火影の子供で尾獣を宿していたり、海軍の英雄の孫で革命家の息子だったり、ダメメガネかと思いきや魔法の世界では選ばれし者だったりと、結局お前らサラブレットじゃん、というのが意外に多い。
「最近の少年漫画って残酷wwwwwwwww」
http://digital-thread.com/archives/2638346.html
これはエンターテイメント作品において敵のインフレに対抗するための有効な手段ではあるけど、持たざる者の成長物語としてはちょっと残念だし、それが若者を「自分探し」に向かわせる遠因になっているという指摘もある。
本当の自分はこんなんじゃないんだ、オレはこんな仕事をするべき人間じゃないんだ、オレには秘めた能力があるんだ、何もしなくてもある日覚醒とかするはず!…。
だから今回のプリキュアで、「本当の自分」という言葉を「自分の直視すべき欠点」であり、また「乗り越えるべきもの」であり、さらにはそれを「素直に認め、受け入れていいもの」としたことはとても良かった。
ちなみに各方面で絶賛されている「おまえうまそうだな」でも、自らの出自、属性、「本当の自分」が、乗り越えるべき壁であり、かつ受け入れて成長するものとして描かれていた。
…と一応言ってみたのだが、実はそれは本題じゃない。
こういった評価はまあいくらでも出来るのだが、父としては正直、若干の不安を感じる。
あっけらかんと「傑作だから見るべき!」みたいに言って良いものなんだろうか。
上に書いた「良かった」って、一体何が、誰にとって良かったのだろう。
大人目線での作品評価、大友アピールに対する賛否、子供への教育的・倫理的効果、情操効果、ポケモン現象みたいな物理的効果、それ以外の様々な正負の影響。
教育学や心理学などの蓄積には最大限の敬意を表すけれど、これらが中長期的に子供にどう影響するかなんて、実はまだまだわからない点が多い。
その影響をすべてコントロール出来るようなものが好ましく、作り手は受け手への正負の具体的な影響を意識すべきだ、とはもちろん思わない(そんなものを目指したら、実に恐ろしくつまらない世の中になるだろう)。
アニメや芸術に限らず日常のすべては何らかの影響を及ぼすのだし、その効果や因果なんて複雑すぎてわからないことが多い。
けど、わかった気になっていることは多い。それが怖い。
実際そこまで神経質になる必要はないのだろうけれど、ただ、大人目線で「いい作品」だと判断することは案外傲慢で、鈍感で、まったく見当違いだったり、逆効果だったりするってことがあるということは覚えておきたい。
そしてそれを自覚した上でなお、何かを信じたり、選択したり、決断しなくてはならないからこそ、責任が大きく、かつ面白いのだけれど。
『Panty & Stocking with Garterbelt』を鑑賞する娘の図。
参考:都小P新谷会長「子供は本当にバカで未熟。家庭だけでは教育できない」:萌えプラス
http://moeplus1.seesaa.net/article/169206644.html
関連エントリ:「理想の子育て法なんてない」
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「昔は良かった」「殴れば良いんだよ」「憲法改正すれば」的な感情論や経験則などで教育を語っても百害あって一利なしなのは明白なのに、現状はそんな論争ばかりなのかもしれない。教育効果をしっかりと検証して次のステップへ進むために。(荻上チキさんの紹介を聞いて追記しました)
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テーマ : ハートキャッチプリキュア! ジャンル : アニメ・コミック