しかし反撃もここまで

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プリキュアを語ったりしていいんだろうか

Category: 子育て  
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「ハートキャッチ・プリキュア」が最終回を目前にしてかなり盛り上がってますね。
一緒にワッショイしたいところなんだけど、どういう距離で語っていいもんか、結構悩みます。
基本的にはネタとして楽しめばいいんでしょうが、一年に一回くらい真面目に考えてみよう、ということで、思ったことをツイッターで連投してみたので、その個人的まとめ。

RT @kouchamoe: 萌えオタニュース速報 : 『ハートキャッチプリキュア!』48話感想 戦闘凄すぎ、作画・演出が神すぎる! http://bit.ly/hatR63 #heartcatch #precure
posted at 22:33:57


ハトプリのテーマ「わが怒りもてなせるものは 華やかに生い育ちたれど 一夜すぎ 雨に消えたり わが愛より播けるものは つねに芽ぐむ その実りおそけれど 祝福はその上にあり!」ペーター・ローゼッガー #heartcatch #precure
posted at 22:36:04


ハトプリはプリキュアシリーズで一番笑えた。とはいえ、無邪気に「神回!」「作画すげえ!」「傑作」と賞賛する気にはまったくなれないんだよな…。いや、技術論はそれはそれで結構なんだけど。 #heartcatch #precure
posted at 22:39:15


別に「暴力描写があかんから規制しろ」とか「ピカピカ光りすぎ」とか「幼女対象なのに大友アピール大杉」という批判をする気はないけど、スポンサー、保護者など制約の多いプリキュアという枠の中での表現の挑戦、という意義は希薄かも。 #heartcatch #precure
posted at 22:51:01


馬越さんはじめ制作側の才能と努力と熱意は本当に素晴らしいけれど、それをオレがキャッキャとはしゃいで見てていいのか?プリキュアという枠で。オレには他の映画もアニメも本もあるけれど、娘には大人ほど選択肢はない。 #heartcatch #precure
posted at 23:01:06


そこに上がりこんで荒らすような真似をしていいもんなんだろうか。ピクサーみたいに、大人も子供も同時にそれぞれの目線で楽しめる、という作りになっているのが理想だけど、それが十分に出来ない時には、やはり大人は身を引くべきなんじゃないだろうか。 #heartcatch #precure
posted at 23:06:34


繰り返すけど、暴力描写云々みたいな、強力効果的な話をしたいんじゃなくて、子供のための公園の遊具を、「大人も」じゃなくて「大人が一番」楽しめる仕様にしたらまずいんじゃないかと。超高速ブランコにオッサンワーワー、子供ポカーンの児童公園… #heartcatch #precure
posted at 23:15:29


メーカや職人さんの遊具作製スキルの高さは疑いようがないけれど、腕の見せ所はそこでいいんだろうか。言論統制下で児童向けアニメ内でしか表現が出来ない、という世でもないし(アニメ製作環境の予算的厳しさという制約はあるかもしれないが) #heartcatch #precure
posted at 23:22:14


ただ難しいのは、超高速ブランコにチャレンジして生き残った子供は後に「衝撃を受けた」「人生の転機になった」「大人の世界を覗けた」と肯定的に言い得る、ということだよな。例えば映画好きなんて大概そういう経験を持っているものだし。 #heartcatch #precure
posted at 23:36:58


でもそれも生存バイアスと自覚の有無の問題で「オレはあの映画見てショックを受けて弁護士になろうと思った」という人はいるけど「・・・ショックを受けて外国人に対して排他的になった」とアピールする奴はいない。死人に口もない。 #heartcatch #precure
posted at 23:52:45


本当に「子どもがポカーン」かどうかはわからないし、限定効果論、受容文脈論的な話をするならそれもバッチコイだけど、でもわざわざ子供向け番組で高速スライダーを投げてきて、その切れ味を見せつけなくてもいいじゃん。 #heartcatch #precure
posted at 00:14:15


【ハトプリ】の流れで  「本当の自分」が残念でも、直視して、受け入れよう http://shikahan.blog78.fc2.com/blog-entry-59.html
posted at 00:32:30


でも、今言ったことはあくまで既存文脈の話なんだよな。女児向けアニメで激しいアクション、シリアスなテーマ、3DCGで萌えキャラがマエケン振付でヌルヌル踊るような奇異性こそが日本アニメの真骨頂なわけだし、そこから何が生まれてくるのかも見たい #heartcatch #precure
posted at 00:55:56




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関連エントリ:
「にほんごであそぼ」についての提案
理想の子育て法なんてない
「本当の自分」が残念でも、直視して、受け入れよう


【追記:2011.1.27】
Twitterだと説明不足になってしまったので、箇条書きで補足。

・ハッシュタグ #heartcatch #precure を付けさせてもらったけど、盛り上がってる人に冷水ぶっかけるようなマネはなるべくしたくなかったので、水曜深夜という見る人が一番少ないだろう時間帯につぶやいてみた

・プリキュアをファンが大友目線で語ること自体には文句つけてない、というか道徳の教科書で抜く奴だっているんだから、それはしょうがないし規制すべきでない。俺自身こんなエントリ書いてるし→(プリキュアと月野りさの関係)。

・でも、それが過剰になると制作側もそれを狙い、マーケティングし、作品に反映されてしまう

・そもそもプリキュアは女児とその父親を対象として作っているので、思惑が合致して止める奴がいないからスポンサーとオッサンばかり大盛り上がりし「オッサンばっかの児童公園化現象」が起きる。ただでさえ「儲ける、商品を売る」という至上命題があるので、ジュブナイル作品としての脚本の良質さは考慮されにくい

・東映&バンダイ商法的なものを批判しても、そもそもそれがなければこの時間にこのクオリティのアニメを作れないかも知れないのだから、それは非現実的で幼稚。ただ、企業に良心は失わずにいてほしい

・こういう話は「健全な女児向き」「大友向き」のどちらかに偏った極論の応酬になりやすいけど、現実的には各要素の出来とバランスの問題。プリキュアの「おしりパンチ」は…セーフかな。でもパンチラしたらさすがにちょっとヤナキモチ…、という節度のラインがあるはず。自分が言っているのは、もちょっと女児向け部分の脚本をしっかりしてほしい、というだけなのかも。

・民放で民間企業が作ってるアニメなんだから、別に道徳的にとか健全な女児向けアニメを作る義務なんかねえよ、仮にひどい洗脳搾取アニメ作ったってお前が見なきゃいいだけじゃん、プリキュアになに期待してんだよ、ピクサーとかと比べてんじゃねえよ、とも言える。

・が、プリキュア好きだし娘も見てるから、出来ればいい作品であって欲しい、と願う(それ以上ではない)
 でも、こういった葛藤や配慮をまったく感じたこともなく、ドヤ顔でチャチな思想系言語を使ってプリキュア語りをしている大きなお友達は、さすがにちょっと頭悪いと思う。もうちょっと恥ずかしそうにしててくれ。

・サバーク博士(月影ゆり/キュアムーンライトの父)というのは、モロにお父さん視聴者向けのキャラ。
 最初は自分の研究や社会的使命感(人々を幸せにする)が目的だったのに、結果的に家族や周囲を不幸に追いやる、という設定は、仕事人間のお父さんのイメージを仮託することも出来るし、オタク道に邁進して家庭を顧みず、いつの間にか自作フィギュア(等身大)まで作ってしまい、「ちょwおまwww」と娘に言われても我に返るどころか、娘との2択でフィギュアを選んでしまうというテレビの前の諸君にとっては大変心が痛いキャラとして見ることも出来る。
 ただし、結局フィギュアは成仏し、(今更の罪滅ぼしだけど)娘を助けて爆死する。
 最終回次第なのでまだわからないけれど、これは
「お前ら作画神!とかサンシャイン(^ω^)ペロペロとか言ってないでちゃんと家族のこと考えろよ」
というエヴァ的なメッセージなのかもしれない…

・上記の話は当然、プリキュアをライダーとかに置き換えることも可能です

【追記2:2011.1.30】
・最終回見た。サバーク博士と月影ゆりのその後や、デューンについてはほとんど言及なし。

・4人が合体した観音プリキュアが「喰らえ!この愛」というまさかの決め台詞でまさかの「こぶしパンチ」。
 プリキュアは基本的に敵を破壊するのではなく煩悩や悪徳を浄化・成仏させるのだから、胸にグーパンはちょっと…。今まで散々殴りまくってきたんだから、最後は愛の押し付けじゃなくて、ハグがよかったかも。
(【追記:2011.4.2】と思ったら、漫画版はすげえ!!絶対読んだ方がいい。というか、読まずにハトプリは語れない。
「デューンと心の大樹は同じ業を背負ってる」
「砂漠の使徒は砂漠がないと生きられない」
「自分が生き延びるためにデューンは砂漠の使徒、心の大樹はプリキュアを生み出したに過ぎない」

みたいなことに言及しててすごい。んで、怒りや正義感や仲間のために戦おうとする青黄紫の3人を制し、争いの連鎖を断ち切らなくてはいけないことを悟ったつぼみが観音プリキュアに変身。「こぶしパンチ」じゃなく、無条件の愛で包んで浄化、という素晴らしいエンディング。つか俺の妄想まんますぎて感動した!ただし、このエントリの趣旨通り、だから「良い」のかどうか、はわからん。
漫画版は確かに真面目で誠実な話だとは思うけれど、いまどきの映画ではよくある脚本、とも言える。逆にアニメ版はインパクトを重視しているようで、実は「プリキュア(思春期に仲間と必死で取り組んだこと)を通じた成長と卒業」という、シリーズで一番大切なテーマを残り15分で描くことが出来ている。


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・岡の上でのシーンはとてもよかった。無限とか世界救ったとか厨二っぽいこといつまでも言ってんのやめようぜ、現実に戻って出来ること頑張ろうぜ、ていうメッセージも素晴らしい。たぶん。

 最後のつぼみの独白は「この一年は大切な宝物」という言葉を使っていたのが意外。物語の総括でもあり、スタッフの気持ちの代弁みたいだった。

・年末まで日常ネタでほとんど敵方の話を進めず、年明け4回で一気に片付けた感が強かったが、まあディテールの良いところだけ愉しめばいい作品なので、デューンって何よとか細かい粗をあげつらうのはやめよう!一年間楽しかった!

・というような大人視聴者の目線を一切無視して、女児向けアニメとしての品位を保ってください。

【追記:2011.2.13】
児童文学とか絵本の世界も結構商売っぽいものが入ってきやすいけど、その世界は案外真面目な守衛さんがいて、安易なお涙頂戴とか絵がカッチョいいとかオシャレだとかいうものは、すぐに淘汰されていっているような気がする。
その感覚で見てるから、プリキュアに多少なんか言いたくなるのかな…。
でも初代「ふたりはプリキュア」とかおジャ魔女とかは、それなりにちゃんとジュブナイルもののような真面目で良い話をやってくれていたから、出来ないことはないんだよな~。
あと根本的な疑問として、例えばプリキュアやライダーで高尚な、難しいことをテーマにして語ろうとするのは、作り手(&それを語りたがるファンの)ものすごく嫌なエゴだよな、という気もする。
お前がダークナイトごっこをしたいだけじゃん、みたいなさ。

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【追記:2011.2.18】
じゃあ教育的配慮とか面倒くさいこと気にしないで、本気で大人向けに魔法少女やろうぜ、というブレイクスルーの最先端が「Panty&Stocking with Garterbelt」とか「まどか☆マギカ」ってことなのか?
パンストは素晴らしかったしなあ。魔法少女界隈の今後がなかなか楽しみだな。

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「タイガーマスク運動」と日本的ロールモデル(考え中)

Category: 社会  
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営業の仕事はつらい。

飛び込みの電話をかけるだけでも億劫だし、電話を丸一日かけ続けながら何の成果もない日など、つくづく嫌になる。

社員のみなさんが設計開発製造など直接業務で稼いでいる間、経営者といえども所詮間接業務でしかない自分が営業成果を出せないということは、その日一日寝ていたのと同じ、いや、電話代がかかっただけ損失が発生したことになる。

自分はそれなりに社交的ではあるものの、デフォルトのテンションは相当低い設定なので、正直言うと受話器を持つのも気が重い。
だから営業をする際には意識的に躁状態にして、明るく楽しくめげないビジネスマンにキャラ設定する。そうすることで、いちいち落ち込んだり悩んだりせずに済むのだ。

まあ「社会人になる」というのはそういう「仮面」を身に着けるということなのだろうし、「社会人意識」「大人力」「モーレツ社員」「やりがいのある仕事」「夢を仕事で実現」「自己啓発」「表層演技と深層演技」「管理職としての自覚」「会社人間」「社畜」などといったキーワードは、結局すべて「仮面」や「モード」の話で、その設定の程度の差や、自覚の有無、オンオフの切り替え、素の人格への侵食度合いなどを表すだけの話なのかも知れない。

もちろんそれを揶揄したり批判的に語ることもいくらでも可能だろう。
しかし、自由意志に任せて放っておけば一日中ネットでエロサイトを見ているだろう自分のような人間にとって、こういうやり方はやはり有効だ。
仕事をして稼がなかればならないという大前提がある以上、プラス思考でなければ頑張れない場面もあるし、自己啓発だろうと暗示だろうと、楽しく仕事が出来て成果を出せるなら、進んで頼りたい、と思うこともある。
著名な成功者の自伝や成功譚を読んでその気になるのも、任侠映画を観た後に肩をいからせて歩く勇気をもらえる程度には効果的なものだ。
要するに、自分でいちいちゼロから「働くとはなんだろうか」「意味のある仕事なのだろうか」「ボクって何?」といったツマランことを考えるプロセスをぶっ飛ばして、今現実的に必要としている適切なロールモデルやマインドセットを手に入れられる、という点が何よりも素晴らしい。

安野モヨコ『働きマン』

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若松義人『マンガでわかるトヨタ式カイゼン』
や、奴が…カイゼンのドラゴン!みたいな。

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さて、2011年の年始から「タイガーマスク運動」と呼ばれる寄附行為が話題になっている。
過去にもこういったことは単発でたびたび起こってきたが、今回だけ「運動」に発展したのは、2010年12月25日の群馬県前橋市の「群馬タイガー」に続く2件目、2011年1月1日に「小田原タイガー」が残した手紙が大きなポイントではないだろうか。

『小田原にもタイガーマスク 児相前にランドセル6個』
http://www.47news.jp/CN/201101/CN2011010501000280.html

手紙には、

「群馬の件に感銘を受けた。タイガーマスク運動が続くとよいですね」などと書かれた手紙が添えられていた。


とあるから、この小田原タイガーは単に個人的な善意の押し付けとして寄附をしているわけではなく、もっと客観的に群馬タイガーの件をとらえ、単発に終わらない寄附行為意識の高まり、一般化を期待して文章を残している。そしてその後の盛り上がりを見れば見事に成功していると言っていいだろう。

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またこの運動の特徴は、言うまでもなく「タイガーマスク」というキャラクターを名乗った、ということだ。
これについては、例えば以下のような分析がある。

『「タイガーマスク運動」は“祭り” 「伊達直人」は神か?』
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20110112/dms1101121248001-n1.htm

新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(社会心理学)は今回の現象を、「日本では寄付は恥ずかしいという気持ちが出るが、伊達直人を名乗ることで遊び感覚が働き、やってみようという気になれたのだろう。作中でも寄付をしていた登場人物だからこそ共感を呼んだ」と指摘する。



記者の文章のまとめ方の問題なのかも知れないけれど、ここには2点、異なる理由の分析がある。
一つ目は、単に匿名で寄附をしたい、という理由。
つまり「タイガーマスク」というキャラを是が非でも名乗りたいのではなく、実名が伏せられればいい、という考え。照れや「名乗る程のもんじゃ…」という美意識、目立ちたくない、偽善者と言われたくない、現行の寄附税制が諸外国に比べて厳しい、といったのが主な理由だろう。
そういう意味では、後に続いたアンパンマンでもドラえもんでも仮面ライダーでもムスカでも段々ネタが横滑りしているような展開に見えるが、「匿名を名乗る」という目的は十分に果たしている。

ハムスター速報:『ムスカ名義でランドセルを送ろうと思うのだが手紙の内容を考えてくれ』
http://hamusoku.com/archives/3960250.html

しかしもう一つの理由は(このエントリ前半のわざとらしい前振りとようやく繋がるわけだけど)「タイガーマスク」(伊達直人)を名乗り、そのロールモデルを演じることにこそ意味がある、ということだ。
ご存知の通り、伊達直人は「ちびっこハウス」という孤児院出身で、プロレスラーになった後は孤児院にファイトマネーを寄附する。
だからこそ、「児童養護施設に」寄附をし、「伊達直人」の名前を選んだ。
善意から寄附行為をしたいと思いつつもなかなか実行に移せず、社会通念上(照れ、目立ちたくない、偽善者と批難される等)も制度設計上(税制や寄附窓口の整備)も敷居が高い状況における、誰もが知ってる格好のロールモデルがタイガーマスクなのだ。
「タイガーマスク」を名乗り、そのキャラ設定にすれば、「子供たちの辛さを想像してみると」とか「寄附は偽善かどうか」みたいな今更いちからか?みたいな自問自答や議論をすっ飛ばして「あ、そゆことね」と受け入れることが出来る。社会にはそういう、とりあえず良いロールモデルってのがあって、それはつまり過去の知恵の結晶、議論の積み重ねの上にあるわけだから、うまく使うと非常に効果的なんだろう。

ichikaraka.jpg

あまり普遍的な意味や他人の目など気にせず「ちっと伊達っとくわ」といって募金箱に小銭を入れられる感覚、あるいは確定申告に「タイガー額」という寄附金の合計を記入する欄がある社会。そんな敷居の低さは、うまく社会を機能させるための「仕組み」になる。
これは実際は結構テクニカルなことで、「正直よくわかんねえし毎回その根源的意味など問わないけどとりあえず使ってる数学や物理の公式」みたいな、「便利なツール」だとイメージすると良いかも知れない。


また、日本の寄附や社会貢献活動の少なさへの批判として、宗教や道徳がないのが問題だとか、利他精神や公徳心の欠如が問題だ、という話がよくある。
実際、宗教上の聖者とその言動、「マタイ福音書何章何節によると」「師曰く」という類のものは、その宗教の熱心な信者でなくても、最低限の道徳的規範として社会で有効に機能しているのだろう。
だからナントカ教に入ろうとか、論語を読ませようとか、武士道を復活させようとか、品格とか民度がどうこうとかいろいろ言い出す人がいるけど、そういうことじゃなくても、道徳的な規範の道筋を示すことは出来る。
例えば「サンタクロース」や「クリスマス」ってのは宗教的規範と思われがちだけど、むしろ典型的な「キャラ」や「設定」で、宗教によらずその施しの精神を分かち合うことが出来るものとして機能している面も多い。

『三十四丁目の奇蹟 Miracle on 34th Street』
宗教的な意味やサンタの実在の有無なんて問題は本当はどうでもよくて、クリスマスというイベントがあることで、皆が他者への愛を意識することが何より大事だ、という話。


日本の場合、施しや利他の精神を発揮しようにも、特定の宗教や思想、人権団体とかが出てくると、まずは「胡散臭い」と思ってしまう人が、自分も含めて大半を占めると思うので、そういったものよりも漫画などのキャラの方が賛同を呼びやすい、という利点もある。
タイガーマスクはまさにそうだし、キャラ化した「あしながおじさん」もそう。
ビジネスの世界では二宮尊徳や上杉鷹山、渋沢栄一、土光敏夫、山岡鉄舟、栗林友二なども「勤勉」「清廉」「無私無欲」「利他」といったキャラとして理解・解釈され、ロールモデル化される場合もある。


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…で、ここで残念なお知らせ。
このエントリのまとめとして、最近の有名な漫画や小説、映画などのキャラで、寄附や社会貢献活動などのロールモデルとなるようなキャラをたくさん列挙して、宗教的な規範とかなくても日本には漫画があるじゃん、○○に寄附(貢献)するなら△△を名乗るといいよ、的な一覧表を作ろうと思ったものの、ほとんど思い浮かばなかった。唯一思いついたのが「紫のバラの人」だっつーのがマジで情けない!(それロールモデルにならないし)。破壊者とか非道徳的人間だったらたくさん思いつくんだけどな~。
これだけ物語があふれながら寄附のロールモデルを40年前のタイガーマスクまで遡らなければならない社会に問題があるのかも知れない(キリッ! と他人のせいにして言いたいところだけど、俺自身がケチ臭い自分の自我のことばっかり考えてたからな…という反省を一応しておこう。

こういう時こそ集合知!ということで、スレでも立てて最近のロールモデルたりうるキャラを教えてもらおうかしら。
いいロールモデルが出来たら、今回のタイガーマスク運動を単なる突発的な流行に終わらせず、より一般化出来る気がするんだけどな。
ムギちゃんが実はすごい寄附してる、とかいう設定だったら俺もがぜん寄附する気が湧いてくるし。

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※ご参考
「お願いタイガー!」寄附をしたい気持ちと支援が必要な施設を結ぶサイト
実際役に立つかどうかわからないし、問題点も出るかも知れないけど、こういうサイトを速攻で作って運営する行動力を、心から尊敬します。



関連エントリ:「なにが本当にブラックなのか?」
      :「理想の子育て法なんてない」
      :「映画のアトラクション化の可能性」


【追記:2011.2.8】
ここでテーマにしている「ロールモデル」というのは、社会的な活動をする上でのロールモデルの話です。
言うまでもなく、「男の生きる道」とか「正義とは」といった自我関係のロールモデルは無限にあります。
で、そういうのはもう溢れかえっているので、別のも見つけようじゃないかと。
胡散臭くなく(これ重要)、ライトで敷居の低い、社会的善行や運動のために機能するロールモデルがあるといいな、というのが本旨です。
それは当然、思考の停止だろうとか、価値観の押し付けや洗脳だとかいう批判があると思いますが、そんな高度な話とは違って、「困っている人がいたら助けよう」程度の、一応普遍的な同意を得られるような部分をもっとうまく機能させようぜ、という話です。よろぴく。
また、公共政策とか社会制度といった大きな議論の話じゃなくて、言うまでもなくもっと即物的なことを扱ってます。

※ご参考
「一風変わった「公共性」(宇野常寛)(2011.1.31)」
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110131/trd11013114320016-n1.htm
俺の(キリッ! の部分と共通した視点ですかね。

これは70年代以降、わかりやすく「世界の平和を守る」公共性を体現するヒーローが国民的な創作物上ではあまり登場しなかったことが理由として挙げられるだろう。現代のヒーローはまず「正義とは何か」という問いに葛藤し、自分探しをしなければならない。



「タイガーマスク運動を一過性のものに終わらせないために(西田亮介)」
http://www.tbsradio.jp/stand-by/2011/01/post_3153.html
「「新しい公共」考える契機に タイガーマスク現象(西田亮介)」『asahi.com』
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201101210290.html
「時代の風:タイガーマスク運動(斎藤環)」
http://mainichi.jp/select/opinion/jidainokaze/news/20110123ddm002070075000c.html
「タイガーマスク運動が語るもの(WEBRONZA)
http://webronza.asahi.com/business/2011011900002.html

【追記:2011.3.18】
「被災者が調子のってるから電池大量に送ってやったぜwwwwww」
http://mamesoku.com/archives/2426297.html
ツンデレ寄付、支援物資テロ、やらない善よりやる偽悪。
しかし確かにこれはすごく善行しやすい!

【追記:2011.4.5】
やらない善よりやる偽善、つらい偽善より楽しい偽悪。
SNSと有名人パワーとタイガーマスク運動と大喜利のハイブリッド?
「悪魔主義者たちの悪魔的寄付に対する町山智浩の悪魔的つっこみ」
http://togetter.com/li/117697

【追記:2011.4.11】
「ニューヨークウエーブ・正義の味方!僕らは街のスーパーヒーロー(NHK)」
http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10002200091101250030338/
「ウォッチメン」宜しく、自らヒーローを名乗り社会的な活動をする人たちのポップな活躍を特集。
ホームレスへの支援を行う「ライフ」という、グリーン・ホーネットを模したヒーローを演じるハイム・ラザロス氏は、ヒーローを演じる意味をこう語っている。
「スーパーヒーローになると自分の欠点や弱さを克服できる。なぜ困った人を助けるのかと質問されても答えやすい。”スーパーヒーローだから”って言えばいいだけだからね」
Superheroes Anonymous
http://superheroesanonymous.com/

【追記:2011.11.2】
SYNODOS JOURNAL : 「アノニマス」の歴史とその思想 塚越健司
http://synodos.livedoor.biz/archives/1850228.html
「アノニマス」のシンボル「ガイ・フォークス」について。

この仮面は、イギリスで80年代に描かれたコミック『Vフォー・ヴェンデッタ』に登場する。『Vフォー・ヴェンデッタ』は、全体主義国家となった近未来のイギリスにおいて、体制に抵抗する主人公「V」の活躍を描いた作品であるが、仮面は17世紀のイギリスに実在したガイ・フォークスという人物を模したもので、彼が体制への反逆者であったことから「V」を被っている。自由の抑制に対する抵抗を、仮面が証明するというわけだ(ちなみにこのコミックの映画が2006年に公開されている)。




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こういうのを見ると、2ちゃんねると4chan、mootとひろゆきの思想(の有無)の違い、なんてことを言いたくもなってしまう。
宗教や思想があまりない文化、というのは自由でコスモポリタンで未来に生きている、とも言えるけど、理論の応酬に晒されていない分、逆に今更「いちからか」な扇動や思想に簡単に踊らされる、ということでもあるかも知れない。
フジデモとか花王不買運動とかは、その正当性や意義は別にしても、そこに至るまでの経緯が幼稚過ぎるのでは。
自分は2ちゃんが大好きなので、どうせならもっとかっけー名無しさんが見たいよ。


【追記:2012.3.9】
「ONE PIECE」で人権教育 生徒の心に大ヒット
http://www.asahi.com/national/update/0305/OSK201203050019.html

日本には扱いが難しい宗教的な規範がなくても漫画があるじゃないか!
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shikahan(しかはん)

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経営、映画、子育てなど。

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